昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「団地で十分。いずれは私一人になるんだなと…」87歳おばあちゃんYouTuberが語る、老後ひとり暮らしの“幸せ”とは

87歳YouTuber・多良美智子さんインタビュー #1

2022/09/09

 差し出された自家製梅シロップのソーダ割りを前にして、「昔から作り続けているんですか?」と訊くと、「違うの。YouTubeで作り方を見ながら、今年初めて作ったんです。そうしたらおいしかった」とほほ笑みながら打ち明ける。

 YouTubeを使いこなす多良美智子さんは、今から2年前、85歳でYouTuberデビューを果たした、“ユーチュー婆”。老後のひとり暮らしの日常を切り取った『Earthおばあちゃんねる』の登録者数は12万人を超え、一番人気の動画にいたっては200万回再生を超えるほど。今年3月には、『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』を上梓した。

 老いてますます盛んなり。希望に満ちた老後のひとり暮らし、その極意とは――。(全2回の1回目/後編へ続く)

多良美智子さん ©文藝春秋

◆◆◆

85歳でYouTuberデビューした理由

――85歳でYouTuberデビュー。なぜ始めようと思ったのでしょうか?

多良 私が今まで作ってきた手芸などの作品は、私が死んだら灰になってしまう。それはちょっと残念だなと。映像にして残しておいたら、家族もときどきは見てくれるかなという気持ちがあって。それを当時中学生だった孫に話すと、彼も自分でYouTubeをしていたものですから、「じゃあ撮ってあげる」と。それで撮ってもらうようになり、動画を公開するようになったのです。

――お孫さんであるあーす君が撮影・編集を担当する共同企画だから『Earthおばあちゃんねる』なんですよね。

多良 そうなんです。孫がいなければ、YouTubeも撮らなかったし、見方も知りませんし、スマートテレビも使いこなせなかったでしょう。長男にすすめられ、新型コロナウィルス給付金の10万円でスマートテレビに買い替えたのですが、孫が使い方を教えてくれて。「こんな便利なものがあったなんて!」と驚いてしまいました。今まで全然知らなかった世界が、急に目の前に広がったみたいな感じです。

自家製梅シロップのソーダ割りをふるまってくれた ©文藝春秋

 そういう経験があり、動画に撮ってもらったらという気持ちがふっと湧いたのです。最初は、私の身内しか見ていなかったのですが、それで十分でした。でも、7本目に「お部屋紹介」の動画をアップしたら、ヒュッヒュッとチャンネル登録者数が急に増えていったのです。

――俗に言う“バズった”というやつですね。

多良 そう、バズったんです。孫から「バズった」と聞いたときは何のことかわかりませんでしたけど(笑)。ただ自分の部屋の様子をアップしただけなのに、びっくりするような再生数を記録して、「どうして、どうして」って。ポカンとしてしまいましたよ。

視聴者の多くは、中高年の女性

――動画では、多良さんの手料理や趣味といったささやかな日常をアップされています。ところが、今ではチャンネル登録者数は12万人を突破。その多くが、50代以上の女性だとお聞きしました。

多良 時々若い方も見てくださるようですが、私ぐらいの年代の親を持つ、中高年の方が多いみたいです。

z