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“泰三子”なのに「ずっと勉強している感じ」

――6月に週刊の連載が終わって、仕事のサイクルは変わりましたか。

 そうですね。ずっと勉強している感じです。

――勉強?

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 歴史の勉強をずっとしています。

――忙しさは、あまり変わらないですか?

 やっている内容が変わっただけで、机に向かっている時間は同じですかね。

――鈴ノ木さんみたいに、ポカッと空いた感じではないですか?

 まあ、そうですね。ないですね。

鈴ノ木 連載の合間に別のネームを描くっていうのが普通じゃないですからね(笑)。変態か!って思いましたよ(笑)。

 いやいや、『コウノドリ』と『ハコヅメ』って作業量が全然ちがうんですよ。『コウノドリ』って絵をたくさん描かなきゃいけないし、話の構成もすごく凝っているじゃないですか。『ハコヅメ』は思いついたまま人物の簡単な絵を描けば、背景はちゃんとした人が描いてくれて原稿になるという仕組みなので、鈴ノ木先生ほどの仕事量じゃないんです。

鈴ノ木 いやいやいや。連載の合間に暇つぶしでネームを描こうって発想がないですからね。ネームを3年前から作っているなんて、ビックリだけど(笑)。

――休みたいという気持ちもそれほどなかったんですか?

 休みたいですけど……休むっていう選択肢が思い浮かばなかったです。休めばよかったですね(笑)。今、思えば。

鈴ノ木 「やすみこ」なのに(笑)。

 損しましたね。

休みすぎると歯車がでっかくなって回せなくなってくる

――先ほど、泰さんの新しい歴史物というのは、『ハコヅメ』連載中に描いたネームから始まったという話がありましたが、鈴ノ木さんの『竜馬がゆく』(原作・司馬遼太郎/『週刊文春』連載中)はどうやって始まったのでしょうか?

龍馬がゆく』第1巻

鈴ノ木 これは声をかけていただいたんですが、初めは「漫画かぁ」って(笑)。たぶん僕はそんなに漫画が好きじゃないんでしょうね。

 えー!

鈴ノ木 また漫画に戻るのかぁって。休み過ぎたってのもあるんですけど。

――どれくらい休んでいたんですか?

鈴ノ木 2年くらいですかね。休みすぎると、動かすための歯車がどんどんでっかくなって、回せなくなってくるんですよ。本当にだらっとしている人間で、外を眺めるだけの1日でも平気なので「やりましょう!」って強く思わないとできないんです。坂本竜馬で司馬遼太郎先生じゃないですか。プレッシャーもあって「できないですよ」って最初は言ってました。

 僕は『おーい!竜馬』(小山ゆう・作画/武田鉄矢・原作/小学館)が好きで、高校生のときに影響を受けて、あれより面白い坂本竜馬なんて描けないって思ったんです。でも、もうあれから30年経ってるし、新しい竜馬を描こうと思わなくてもいいけど、新しいものとして描けるんじゃないかと言われまして……。それで、どうしようかな、ダラダラしたいしなと奥さんに相談したら「お前、なに言ってるんだ。もう十分ダラダラしただろ! こんないい話ないよ」って。そういうふうに後押しされて始めました。僕はなんでも妻任せですね。