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「まるで南北朝時代の再来」神社本庁で内ゲバ…前代未聞の事態に

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「宗教法人の代表役員の権限に固執して、この統理様の御意向を無視するごとき行動が神社本庁役職員のなかに見られることは言語道断の所業とも存じます」

 終戦の日の8月15日、“神社界の広報紙”「神社新報」に異様な意見広告が掲載された。御霊安かれと祈りが捧げられる日に、これは一体……。

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総長の座を巡って起きた争い

 全国約8万社を束ねる宗教法人「神社本庁」は日本最大の宗教法人だ。文化庁の「宗教年鑑」(令和3年)によれば、信者数は約7900万人。2位は「浄土真宗本願寺派」の約780万人と桁違いに多い。その神社本庁内部で、近年「擾乱(じょうらん)」が続いている。神社本庁関係者が語る。

「発端は2015年の職員宿舎の売却問題でした。内部告発した職員が、懲戒解雇処分となり、神社本庁を相手に民事訴訟を起した。今年4月、最高裁まで争った末に本庁側は完敗。事務方トップの田中恆清氏らへの信頼が揺らいだのです」

鷹司尚武氏は元NEC通信システム社長

 神社本庁には、象徴として行事を担う「統理」と実務を担う「総長」が存在する。両者は天皇と首相の関係に近い。現在の統理はかつての五摂家出身で、養母が昭和天皇の娘である鷹司(たかつかさ)尚武氏(元伊勢神宮大宮司)。争いは総長の座を巡って起きている。前出の関係者が明かす。

「5月下旬、新総長を選ぶ臨時役員会が開かれました。その場は、田中氏の続投を支持するグループとそれを代えようとする鷹司統理支持派で紛糾。内規により統理裁定で芦原高穂氏(旭川神社宮司)を指名した。しかし、田中派は納得せず多数決での選出を主張。双方の認識が平行線のまま会議が終了したのです」