打撃もなかなか結果を出すことができず…
打撃の方でも茶ゴジラと言われるほど長打力を評価されたものの実戦ではなかなか結果が伴わなかった。オフにはホークスの先輩にあたる内川聖一(現スワローズ)に弟子入り。ともに自主トレをする中で広角に打てる打撃を磨いていくことになる。
「どんなに練習で飛ばしても試合で打てないと意味がない。自分がどういうバッターなのか、どういう打球を打たないといけないのかと考えた中で、引っ張り一本ではなくて広角にという意識付けになった。そんな中でホークスの先輩である内川さんは憧れだった。あの人のように広角に打ちたいという想いがあった」と自主トレで練習を共にする中で、技術を吸収していった。
期待は大きかったが、なかなか結果を出すことが出来ないもどかしい毎日が続いた。ホークス時代、一軍ではわずか1試合の出場。ヒット1本で移籍することになった。環境を変えての出直し。背水の陣の想いで取り組んだ。マリーンズ移籍後に言われ続けたのはタイミングの大事さだった。
「どんなにいいフォームでも、いい打ち方でも、タイミングが合わなければ意味がない。守備も同じでタイミングが大事。盗塁もタイミング。なんでもタイミング。だからタイミングを大事にするという気持ちをマリーンズに移籍してからは最優先にしています」と茶谷は話す。
4人の健太が一軍の舞台、同じ空間に
移籍4年目の今年。チャンスを待っていた男に出番が訪れた。7月23日のファイターズ戦(札幌D)。右肩を痛めた安田尚憲内野手のスタメン出場が見送られ、代役として急きょ9番三塁で出番が回ってくると燃えた。「なんとしてもこのチャンスを掴みたいと思っていた」と茶谷。3安打3打点の活躍。3回に二塁打を放ち、これがプロ初の長打。4回には二死満塁から左前2点適時打で初打点も記録。8回には右中間に三塁打。こちらも、もちろん初の三塁打となった。そして試合後には初のヒーローインタビューを経験。シャイな男は静かに北の大地で熱い気持ちを口にした。
そして8月9日、ZOZOマリンスタジアムでのホークス戦。忘れられないゲームを迎える。茶谷は9番遊撃でスタメン出場。ホークスは2番遊撃で今宮、7番一塁で黒瀬。出場こそなかったがベンチには谷川原の姿があった。4人の健太が一軍の舞台、同じ空間にいた。
「入団会見の事をふと思い出した。あの年のドラフトメンバーはみんな頑張っている。負けられない想いがある」
すでに7年の月日が流れていた。チームも替わった。しかし、今もみんな最前線で必死にもがき、存在感を示そうとしている。茶谷も負けじとマリーンズで確固たる立場を掴むために必死の毎日を送っている。今も試合前にノックなどの守備練習を人一倍、入念に行う。全体練習が終わって泥まみれになりながら最後にロッカールームに戻ってくる。試合で活躍して周囲から「茶柱、立ちました!」と声をかけられると照れ臭そうに笑う茶谷。マリーンズの茶ゴジラのプロ野球人生は少しばかり遅咲き。ここから本格化する。
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