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心が折れそうなライオンズファンへ。今こそ思い出したい“栗山巧の言葉”

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/09/18

 ライオンズが苦しい。ソフトバンクとの首位攻防3連戦で痛恨の3連敗を喫し、そこから5連敗。優勝に向けてはまさに1敗も許されない状況が続いている。

 それどころか、混戦が続くパ・リーグにおいては、3位楽天と4位西武はゲーム差なし。5位ロッテでも3位楽天まで2ゲーム差と、クライマックス・シリーズ(CS)圏内をうかがえる位置にいる。優勝争いを演じていたはずのライオンズがCS進出圏内から振り落とされる可能性だってあるのだ。稀にみる大混戦と言っていいだろう。

 9月に入った時点では首位に立っていたライオンズだが、9月は3勝10敗と負け数が上回る状況だ。これまで長らく12球団トップを誇っていたチーム防御率は2.78となり、今月に限れば4.26、リリーフ防御率も4.81と疲労が伺えるが、これまでずっと良すぎるほどの成績を残してきたのも事実。こんな時こそ打線で勝つ試合を……と期待はするのだが、現在のチーム打率.229は悲しいかな12球団ワースト、これまで得点源となってきた山川が9月.130では得点力が上がらない。苦しい状況だ。

去年と今年の大きな違い

 そんなことを思いながら、そういえば……、と去年の今頃はこんなにシーズンを楽しめていなかったことを思い出した。ライオンズが得意な8月になっても、9月になっても負けがこみ、負けることに慣れてしまったのではないかと思うような戦いぶりに、応援する心も折れそうだった。

 ただ、今年は違う。9月のこの時季に、優勝争いを、CS進出争いを楽しめている。大谷翔平が「もっともっと楽しいというか、ヒリヒリするような9月を過ごしたい」と去年の今頃話していたが、その通り、この時季にそう感じられることこそが有難いことなのだ。

 今ここにいることを、ファンは楽しまなきゃ損だ。独走していても、脱落してしまっても楽しめない「ヒリヒリ感」を今感じないともったいない。悲観することなど何もないのだ。

 1点の重み、1プレーの重み、1球の重み、1つのミスの重み、1つの采配の重みをここまで感じられるのは、優勝争いをしているから、CS進出争いをしているからだ。選手は野球選手としての真価が問われ、チームの野球観が問われる試合が続く。春のキャンプからシーズンを通して経験してきたこと、試してきたこと、そして鍛えてきたことの集大成が見られる。ペナントレースの面白さを感じられるのは、今なのだ。

 負ければ苦しいし、特に序盤に試合が決してしまうような展開ならなおさらツライ。同じ1敗でもここに来ると重い。目を背けたくなる試合もないわけではない。

 ただ、最後の最後まで見続けた方がいいと思うのは、諦めない方が楽しいし、試練が多い方が強くなれる気がしてわくわくするからだ。1つの負けに苦しめる今この瞬間を楽しまないともったいない。長くてもあと1ヶ月と少しで、今年のプロ野球は終わってしまうのだから。

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