〈「韓国では献金も嫌だったら断れるんですけれど、自分で判断できなくなっていく人もいます。私は収入の10分の1の献金を求められても、それよりも少額しか払わなかった。高麗人参8万円を4つ買ったこともあります。後で知ったのですが、市価は1万円くらいらしくて。でも損をしたとは思わない。私は甲状腺に異常があって、その人参を飲んで治った。後悔するかどうかは、結局自分が決めることです」〉
日本人女性信者が暮らしている場所は、ソウルのような都市だけでなく、むしろ漁農村地帯や山間部などにも多くいる。取材で出会った元日本人妻のなかには、牛小屋での過酷な生活を証言してくれた人もいた。夫のDVなどに苦しみ、離婚した人もいた。
日本人妻たちに共通する悩みが、結婚相手の韓国人男性に信仰心がないこと。出会いの少ない漁農村では、旧統一教会が働き者の日本人女性を斡旋してくれる“結婚斡旋所”になっているのだ。
そんな苛酷な実態があるにもかかわらず、日本人女性信者はなぜ海を渡り韓国で暮らすのか。複数の日本人妻に会って話を聞いた甚野氏はこう書く。
〈その疑問を解く鍵は、「盲目的な文鮮明への崇拝」と「反日の呪縛」ではないか。今も7000人の日本人妻たちがその二つを抱えて生きている〉
「うちらには先祖の罪があるから」
甚野氏は取材中、佐藤氏が何度も語った言葉が忘れられないという。
「うちらには先祖の罪があるから」
甚野氏の韓国ルポ「日本人妻の奉仕と呪縛」は、「文藝春秋」9月9日発売号に全10ページにわたって掲載されている。また同号は「権力と宗教」を総特集。石井謙一郎氏の「婚外子の告発『文鮮明は母をレイプした』」、鈴木エイト氏「統一教会“安倍派工作“内部文書」も同載されている。
韓国ルポ 日本人妻の奉仕と呪縛