「受験戦争で東大を目指すのって、もう古いんですよ」――2年間の浪人生活という苦労を経験した末に、一般入試合格の価値に疑問を感じた現役東大生の黒田将臣(くろだ・まさおみ)さん。
彼が一般入試よりも「推薦入試」で合格する人間を高く評価する理由とは? 黒田氏初の著書『ビジネスとしての東大受験 億を稼ぐ悪の受験ハック』より一部抜粋・再構成してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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もはや一般入試は古い!?
突然ですが、みなさんは今の大学生のうち、どれくらいが一般入試で進学したかを知っていますか?
2020年の文部科学省調査によると、大学進学者全体では一般入試が52.3%、AO13.5%、推薦入試33.7%と、一般と推薦・AOがほぼ半々になっています。
また、私立大学を見ると、合格者のうち55.6%が推薦・AO入試での合格者となっており、一般入試の割合の方が低いのです。
端的に言ってしまえば、この令和の時代において、一般入試をする人間は、少数派なんです。
僕の親は今年60歳になります。その世代は、大学受験といえば努力に努力を重ね、寝る間も惜しんで受験勉強をしなければならなかったと言います。そうやって頑張って、早稲田慶應、もっと上なら東大京大という学歴が手に入っていた時代だったそうです。そうして頑張った学生が就職でも評価され、会社に入ってからも学歴で評価されたわけです。
だからその時代の感覚で、親御さんは「あんた、勉強しなさい!」とよく言いますよね。勉強しろ、宿題をやれ、塾に行け、いい大学に入れば人生安泰だ、と。
でも、もうこの令和の時代において受験勉強を頑張るのは時代遅れなのです。
今やマジョリティとなった推薦・AO入試で評価されるのは、課外活動やコミュニケーション能力です。
極端な話、学校でeスポーツ部に入って、ゲーム仲間と楽しくワイワイ遊んで、みんなで大会も出て、コミュニケーション能力を身につけていた方が、真面目に勉強するよりもいい大学に行けるかもしれません。
一般入試は少数派の競技になりました。というより、持たざるものの競技になりました。
有名な進学校であっても、「頭がいい人」は共通テストも受けずにいい大学に推薦合格が決定していて、高3の10月には入試が終わっています。
それに対して、授業態度が悪かったり、課外活動をあまり積極的にやっていなかったりする学生が、一般入試をするんです。