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加害者も被害者も、笑い飛ばせない切実な望みや悩みを抱えている。犯罪を描く連作でありながら、主人公たちが迎える結末には一抹の光が差す。
「近年、失敗した人を赦さない風潮が強い気がするのですが、だからこそ、話の中にやり直せるまなざしを残したかったんです。善悪で断じきれない、人生の途方もなさを実感する齢になったからかもしれません。でも、十年前のばっさり斬る感性で詐欺を書いたらどんな小説になったのかも興味があるので、いずれそちらの切り口でも、詐欺にはまた挑んでみたいです」
つじむらみづき 1980年山梨県生まれ。2011年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で直木賞、18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。
辻村深月さんの「五年目の受験詐欺」の朗読がこちらからお聴きいただけます
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