国会質疑でも「やめるべき」の声が
なぜ普及しないのか。公衆衛生に詳しい関西福祉大学の勝田吉彰教授が語る。
「陽性者が自ら登録しなければ効果がない仕組みだからでしょう。さらに問題なのが登録方法についての問い合わせが保健所に相次ぎ、対応に人的エネルギーが消費されていること。コロナは、空気中に漂う小さな粒子を吸い込んで感染する『エアロゾル感染』もあると指摘されており、1メートル以内の接触での通知では不十分です」
21年度は約3.9億円、今年度は5.6億円を計上した。初年度からの合計で約13.3億円。4月7日の国会質疑でも「やめるべき」の声が上がる始末だ。果たして必要なのか。厚労省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部に聞くと、
「(1メートル以内などの基準は)積極的疫学調査の実施要領に則って設計しており、今後、必要に応じて変更します。陽性者自身が登録しないといけない仕組みは、プライバシーを守り、本人の同意に基づいて行われるためです」
業務委託先のエムティーアイ社は「安心してご利用いただけるよう運用保守に努めてまいります」と一言。
開発当時のIT政策担当大臣・竹本直一氏は、どう考えているのか。
――アプリは入れている?
「入れてますよ」
――人口の3割程度の利用しかないが。
「感染者が何万人も出るようになって、アプリに頼らなくなった。意識の変化があるのでは」
――5.6億円も計上して続ける意味は?
「それくらい大した額ではない。開発した当時の株と今のオミクロン株は違うからね。感染力は強いけど重症化しない。みんな感染しても、大騒ぎしたくないので、使わないだけ。もうしばらく使って判断すべきでしょうね」
こうやって、また税金が使われていく。