59勝81敗3分。さすがに今春、田尾安志、岡義朗、藪恵壹3氏の鼎談で話題になった「シーズン100敗説」(YouTube「TAO CHANNEL」2022年3月28日)には及ばなかったが、5位ロッテに9ゲーム差つけられての最下位だ。まぁ、最下位予想自体は僕だってしていたから何も珍しくないが、「100敗してもいいくらいですね」の藪氏にはあらためてコメントを求めたい。「100ー81=19」の誤差19が大目に見られるなら、勝ちのほうに加えたら「59+19=78」でパ・リーグ優勝だ。そんなデカい誤差はない。
いや、その話ではなかった。新庄ビッグボスの2022年シーズンが終了したという話だ。「話題性ばかり先行で不甲斐ないシーズンだった」という見方もあると思う。同じことの裏返しで「9年ぶりの最下位だったわりに面白いシーズンだった」という見方もあるだろう。
「ほぼ日ハム手帳」のななつぼしさんと2022年シーズンを振り返りたい。
それも「BIGBOSSタワー」や「札幌開幕戦の巨大ドローン入場」や「ランボルギーニで球場入り」等々の話題性をとりあえず横に置いて、試合の正味の部分が見たい。野球の実質。あの試合はすごかった。あの試合は興奮した。そういうものを見つめたい。
ちなみに僕の「2022、あの試合」を挙げるとしたら4月17日ロッテ戦(ZOZOマリン)、佐々木朗希に8回までパーフェクトに抑えられて、延長10回、敵の3番手西野勇士のフォークを万波中正がセンターに叩き込んだ「たった1安打の勝利」だ。佐々木朗希は2試合連続の完全試合を達成するところだった。興奮が一方のマックスから逆のマックスへ振り切れる無茶苦茶な試合。ミラクルがミラクルを呼んだ圧巻の「ビッグボス劇場」だった(構成・えのきどいちろう)。
「何としても手帳に入れたい」と思った試合
――シーズンお疲れ様です。ファイターズの熱闘を写真の切り貼り&イラストで手帳に落とし込むという、ななつぼしさんの荒行の日々も一段落ですかね。
「お疲れ様です。全日程が終わってゆっくりできたんですけど、何か落ち着かないんですよね。で、ちょっとデータの話いいですか。数字を出してみたんです。勝ち試合のとき、手帳の見開き2ページを使って大展開してる試合があるんです。やっぱりインパクトが強いっていうか感動した試合はこっちも張り切って見開きになるんですよ。で、まず今シーズンの勝ち星が59勝、そのうち2ページ使って見開きの構成にした試合が23回あったんです。割合で言うと.389なんですけど。
――あ、データといっても手帳の……。
「で、私がどういう試合を見開きにしたかをパーッと見て行ったら大きく分けて2つあると思ったんです。1つは『今季初』とか誰かが記録達成したとか、メモリアル的な内容です。これは最初から見開きで行こうって考えてる試合です。これが23回のうち13回あったんですね。で、それ以外の、もう1つのパターンっていうのが試合内容が面白くて興奮したやつです。ビッグボス野球炸裂。これが10回あった。これを去年と比べてみたんですね。去年は55勝してるんですけど、2ページ見開きの展開にしたのが16回しかないんですね。パーセンテージにすると3割切っちゃうんです。しかもですよ、そのなかで試合が面白くて見開きにしたのがたった6回しかないんですね」
――ななつぼしさん自身がやってること、という点を除けば納得のデータですね。
「ありがとうございます。やっぱりこれは新庄ビッグボスになって野球が面白くなったとしか考えられません。期待値も上がりました」
――なるほど、具体的にはどんな試合が大きく扱われたのでしょう? ほぼ日ハム手帳の「2022、あの試合」ってことですよね。
「はい、今日のお話のメインにしたいのが5月29日の巨人戦。根本(悠楓)君のプロ初勝利の試合なんです。札幌ドームです。この試合は根本君の初勝利もなんですけど、それを支えた継投リレーを何としても手帳に入れたいと考えました。根本君が5回を被安打5、失点2と試合をつくって、そこから吉田輝星、石川直也、堀瑞輝、北山亘基(教授)と1イニングずつピシャリです。走者を出したのは輝星の被安打1だけ。あとはすべて三凡です。球数も輝星11、直10、瑞輝9、教授14と素晴らしかった。これを1ページにどうしても入れ込みたいなと思って。