文春オンライン

2022/10/29

「タテ」は「つーさん」と相性がよかった

 UHBの番組「F-PARK」で、就任早々の新庄剛志に建山義紀がインタビューをしています。ファイターズの公式YouTubeチャンネルで公開されているのでぜひ観てみて頂きたいのですが、ここで2人が振り返っている現役時代の話が結構ひどいっちゃひどいんですよね。何しろ十数年前のことなので、おじさん2人の記憶は微妙に曖昧で、札幌ドームでの会話だとしながらサヨナラ負けした時だとか言っているのですが、取り敢えずその辻褄は脇にのけます。要は、建山義紀が打たれて負けた、その時に新庄先輩は敗戦投手に何を言ったか。2人の回想はこうです。

「『あー持ってるわー』って、『さすがタテ!』って」

「アメリカに行ったらバッピで3000万稼げるって言ったんですよ、僕に」

 セーブ失敗したばかりの投手に「打撃投手で稼げる」とは字面だけ見たら暴言もいいところなのですが、2人ともゲラゲラ大笑いしていて、これは当時もたぶん笑ってたんだろうなと見当がつきます。言った方だけではなく、言われた方も。

 若い投手が「抑えは先発の勝利やいろいろなものがかかっている重い役割」などと言うことがありますが、だからといって一度も失敗したことのない、防御率0.00でキャリアを終えるクローザーもいない訳で、誰でも打たれることはある。その時にあまりにも深刻に受け止め過ぎるのも考えものです。笑い飛ばせるようでなかったら次へ進めない。

 とはいうものの、嫌味や意地悪や無神経で言われたのではないのだと一瞬たりとも誤解せずにすむかどうかは、聞いた人間の気質や性格にもかかってくることのような気がします。言葉を発した側と受け取る側との相性、ということにもなるかもしれません。幸いにして、「タテ」は「つーさん」と相性がよかった。

 この一年、若い選手の不注意や準備不足に対して「BIGBOSSカミナリ!」みたいな記事を見ることが時々ありました。スポーツ新聞的に表現すると「激怒」「カミナリ」となるのですが、よく読んでみると怒っているというよりは、もどかしそうな感じに見えるんですよね。伝えたい、伝わってほしいというじれったさ。努力は一生、本番は一回、チャンスは一瞬、これどこまで本当に届いてる?というような。

「ひちょり」の言葉には共通して滲んでいたものがあった

 月曜日の夜はSTVラジオ「ひちょりのWA!!」を聴きました。はい、これも森本稀哲のレギュラー番組なんです。当然ここでもコーチ就任の話。テレビでもラジオでも、彼の言葉には共通して滲んでいたものがありました。新庄剛志という野球人のことを判っているという自負。そして、だから自分がそれをチームに伝える、という自覚。

 ライオンズの後輩・山川穂高から《ノック打てますか??》とツイッターでからかわれて、なりたてほやほや外野守備走塁コーチは《バカタレ! 今は無理じゃ! 練習しかないだろ!》と返していました。指導実績も何もない新米です。でも「タテ」と「ひちょり」だからこそできることがきっとあります。「つーさん」とファイターズのために。

 月曜日の最後に、YouTube「森本ひちょりのひちょりズム」を観てみました。スーツ姿で真面目にコーチ就任報告をしつつ、試合中は野次をチェックしますよと笑わせてもくる森本稀哲の、動画の最後はこんな決意表明です。

 パッとこうLED1個増えたなぐらいの雰囲気に、チームでなればいいと思ってますので!

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