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2018年の期待と予測

 さて、打倒ソフトバンクに燃える今季ですが、投手では先発組の野上亮磨がFAで巨人に移籍し、頼れるセットアッパーの牧田和久もメジャー入りが濃厚です。この穴を若手中心でいかに埋めることができるか。辻監督は大卒3年目の多和田真三郎、高卒4年目の髙橋光成に期待をかけています。昨季はこの2人で8勝でしたが、今季は合わせて20勝が計算できる先発ローテーション組に入って欲しいところ。そして、菊池に次ぐ左腕の先発としては、新入団の齊藤大将は未知数ですが、昨季はケガで中盤以降は働けなかった大卒4年目の佐野泰雄の名前が監督から出て「(左腕投手に弱いといわれている)ソフトバンク専用でいけたら」と話していました。絶対的なエースと言われた岸孝之が抜け、菊池が大きくブレークしました。若手がチャンスの意識をどれだけ高めることができるかがポイントになるでしょう。

 外国人投手もキーを握っています。先発では、ブライアン・ウルフが昨季は9勝止まりも二桁は何とか期待したいところです。先日獲得が発表されたファビオ・カスティーヨが先発で、ニール・ワグナーが中継ぎで牧田の代わりを、が現時点でのプラン。このところ新外国人投手は「ハズレ」が多いので、スカウトの手腕の見せ所です。

 野手に関しては、昨季終盤4番を任された山川穂高の使い方。エルネスト・メヒアの代役としてブレークし、DH、一塁手との併用になるでしょうが、森友哉がマスクをかぶらない時など難しいところです。主砲・中村剛也も常時守備に就くのは体力的に厳しい状況です。この面々が調子を持続すれば打撃担当コーチは相当うれしい悩みを抱えることになります。まぁ、チームとしては理想なのですが。

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 2年目の源田壮亮も2年連続のフル出場が目標で、遊撃手は完全に固定しました。現役時代に監督が背負った背番号「5」に変わった内外野守れる外崎修汰もしぶとい打撃と足が魅力です。同じく背番号がひと桁の「9」に変わった木村は、控えにはもったいない選手といわれるほど打撃を確実なものにしたいところ。秋山翔吾、浅村はまったく心配はいりません。

15年ぶりにライオンズに復帰する松井稼頭央 ©文藝春秋

 個人的に一番の楽しみは松井稼頭央の復帰です。一般的な見方ではピークを過ぎた年齢(42歳)ですが、まだまだ十分な体力、技術は保持しています。言葉や行動でグイグイ引っ張るということではなく、存在そのものがチームにとってかけがえのない財産となるでしょう。前の西武在籍時代、若手を連れての自主トレでは、そのハードさに年下の選手が次々に脱落するほどでした。練習に取り組む姿勢、野球少年のような目の輝きはまだまだ健在です。

 今季の優勝へのポイントは、ソフトバンクと五分の勝負ができるか。菊池がこの相手に勝てるか。この2点に尽きると思います。

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