要となるのはドラフト戦略
ここまで書いた、ぼくらの“思い入れ強め”首脳陣が将来的に爆誕したとしても、プレーするのは選手たち。せっかく機が熟してもそこで十分な戦力が整っていなければ、大願成就も叶いません。
言うまでもなく、その要となるのはドラフト戦略。今秋も含めて、いかに中・長期的な視野でチーム編成に動けるか。井口監督の“神の手”がもつ神通力にはまだまだ頼りたいところです。
投手陣は、5年後ともなれば、そろそろ“球界の宝”佐々木朗希のポスティングによる海外移籍が現実味を帯びてくる頃合い。柱となるのは、33歳になっている佐々木千隼、32歳の二木康太あたり。小島和哉、岩下大輝が31歳。種市篤暉も29歳。今季2年目の中森俊介が順調に成長すれば、25歳とバリバリ全盛期を迎えているでしょうが、いずれにしても朗希に代わる逸材の獲得が急がれます。
ぼくらのサブマリン、渡辺俊介の入閣がもし実現するとしたら、今秋のプロ志望届提出はまだ不透明ながら、昨秋、県ベスト4まで勝ち上がった市原中央の192cmサブマリン・松平快聖あたりは“地元枠”としても、ぜひマリーンズで観てみたい逸材。
大卒5年目の西武・與座海人も今季初の2ケタ勝利を手にしていますし、現代のプロ野球にもアンダースローの活路はまだまだある。平成ナンバーワンのサブマリンが、令和の“後継者”を育てる、なんて筋書きはそれだけでドラマや映画になりそうなエモさです。
地元枠では、まだ2年生ながら公式戦で150km/hを計測した専大松戸・平野大地も注目株。同じ専松出身の上沢直之(日本ハム)や高橋礼(ソフトバンク)、今季大活躍の加藤貴之(拓大紅陵→かずさマジック/日本ハム)ら、とりわけ投手には、他球団でエース級の活躍をみせる「獲っときゃよかったのに」選手が目立つのも確か。持丸修一監督が「上沢の高校時代よりも完成されている」と太鼓判を押すとなれば、もはや獲らない手はないでしょう。
それと、せっかくできた岩手・大船渡との“絆”を次代に繋ぐという意味でも、今夏全国制覇の仙台育英が誇る2年生・仁田陽翔もマストで入ってほしい逸材左腕。マリンで開催された『リアスリーグ』で投げる小学6年生の朗希を、スタンドで応援していたのが他ならぬ陽翔少年。遠からず海を渡る先輩が、同じ大船渡一中出身の後輩に「17」を託す――なんてことにでもなれば、ニッカン・金子真仁記者あたりが号泣必至のコラムを新たに書いてくれるに違いありません。
野手では、マリーンズ永遠の命題、遊撃手をどうするか。「何人獲れば気が済むんだ」とツッコまれようと、誰かががっつりハマるまではとにかく獲り続けていく以外にありません。
実際、オリックスなどは、宗佑磨・西野真弘を獲った14年以降、大城滉二、福田周平、山足達也、太田椋、宜保翔ら、ポジションで被る選手たちを次々に獲得して、選手層の底上げ&昨季のリーグ優勝に繋げています。それをそのままマネしろとは思いませんが、捕手&中堅手のメドが立ったいまこそ、センターラインの確立を最優先にして強化に動いてもらいたいところです。
そもそも遊撃手は全国的にも稀少ですが、今秋ドラフトには幸い、亜細亜大の田中幹也がいます。
競合必至の高松商・浅野翔吾を“神の手”でつかみ取る姿も、もちろん観たいですが、悩める藤岡裕大のカンフル剤ともなりうる直属の後輩で、安田や藤原らとはほぼ同世代。しかも近年のマリーンズが好んできた主将経験者となれば、真っ先に獲得すべき人材はやはり彼。
そしてなにより、彼自身が“忍者”とも評される守備力と圧倒的な走力を兼ね備える、166cmの小兵であるというのも、ぼくらのロマンを掻きたてます。
大学屈指のスピードスターを、体格的にも似たタイプの小坂誠がコーチとして育てる。そんな図式が来季早々に実現するなら、5年後とは言わず、いまからでも期待に胸躍らせたくなりますよね。
順位こそ残念無念でしたが、髙部がダントツで盗塁王に輝き、山口が落合以来の1試合8打点を含む初の2ケタホームラン。安田、藤原にも明るい兆しが見えつつある。荻野貴司with助っ人外国人に頼りきりすぎた貧打線も、過渡期のいまがまさに辛抱のしどきです。
でも、ぼくらにできるのは、あくまでも「楽しみに待つ」だけ。とにもかくにも、来季のマリーンズが純度100%の妄想でしかない「ぼくのかんがえた5ねんごのまりーんず」の遥か上をいってくれることを心の底から願っています。
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