「スプリングには、実際には経費がかかっていないにもかかわらず、使ったことにして県に報告している疑いがあるのです」
どのような手口なのか。スプリング社員が証言する。
助成金を予算通りにもらえるよう金額を調整した痕跡が
「ウェブ関連の費用として毎年、数百万円程度のざっくりとした金額を計上し、その一部を手をつけずに会社の“収入”にしているのです。もちろん、ウェブ広告など外部への支出を伴う項目はあります。しかし、キャンペーンページ制作などは社内にデザイナーがいるので、基本的にはその人がやる。仮に外注したとしても数十万円程度です。数百万円かかるなんてまずあり得ません。にもかかわらず、佐賀県には全額を『使用済』として報告しているのです」
小誌は2021年度の広報活動負担金に関するスプリングの社内資料を入手。その中に、「実施報告書」というものがある。スプリングが年度末に提出する最終報告書で、佐賀県はこの内容を確認した上で負担金を支払う。最終的に支出した額は「実際利用金額」の欄に記載されており、ウェブ関連の費用としては5項目で総額483万9500円が使用されたことになっている。
この報告書について、前出の佐賀県関係者が語る。
「助成金を予算通りにもらえるよう金額を調整した痕跡が残っているのです」
注目すべきは報告書の「佐賀線タイムセール」の「ページ・コンテンツ制作」の欄。当初の予定額が「助成金利用額修正案」の欄に記載されており、金額は100万円。そして、実際の支出を示す「実際利用金額」を見ると、113万9500円に増えている。
差額は13万9500円。実は、これと一致する金額がある。
報告書には「助成金利用額修正案」から「実際利用金額」で“減額”している項目が3つある。「佐賀線タイムセール」の「補助5000円/1席」、「旅行会社商品販売補助」(成田発・佐賀発)、「目録用航空券代」である。これら3項目の減額分を合算すると、13万9500円。「ページ・コンテンツ制作」の増額分とピッタリ一致するのだ。
前出の佐賀県関係者が説明する。