米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(28)が3000万ドル(約44億円)で来季の単年契約を結んだと米国時間10月1日に球団が発表した。
今季が総額850万ドルの2年契約最終年。注目された8月上旬のトレード期限までに動きはなく、同月下旬にはエンゼルスは球団売却の方針が表面化していた。不透明な状況下で、大谷は年俸調停の権利を保有しており、来季契約に向けた交渉は難航も見込まれた中、予想外のスピード決着になった。
米大手マネジメント会社の代理人は「年俸調停の権利を持っている大谷クラスの大物選手がシーズン中に大型契約を延長するケースはあっても、こんな早い段階で単年契約することは聞いたことがない。球団にはいいことずくめだが、大谷サイドにどんなメリットがあるのか理解できない」と困惑気味に話す。
5000万ドルの観測も「拙速な合意」
大谷の来季年俸3000万ドルは、年俸調停権を持つ選手ではムーキー・ベッツ(ドジャース)のレッドソックス時代の2020年の2700万ドルを超える史上最高額だ。アップ額も550万ドルから2450万ドル増で、740万ドルから1700万ドルと960万ドル増だった19年のジェイコブ・デグロム(メッツ)の史上最高額を大きく上回った。同時にダルビッシュ有投手(パドレス)がカブス時代の18年に得た日本選手最高年俸2500万ドルを超えた。記録ずくめの契約ではある。
しかし、米メディアでは5000万ドルにも達するのではないかとの観測が浮上していた。昨季は「9勝、46本塁打」でMVPに輝き、今季も10月3日現在で「15勝、34本塁打」と60本塁打超えしたアーロン・ジャッジ(ヤンキース)と一騎打ちでMVPを争う。2年連続の二刀流での大活躍への対価としては「3000万ドルでは足りない」と一部メディアは書き立てている。前出の代理人が語る。
「過去のベッツとデグロムの昇給を踏まえ、投打合算で評価したと思われる金額そのものは妥当な側面はある。しかし、なぜこんなに早く大谷は決断する必要があったのか。大谷は前例がない選手。極論を言うと、代理人は青天井でいくらでも要求できる。最大限の金額を引き出すため、年俸調停も辞さない構えで、(23年年頭の)ぎりぎりまでエンゼルスと交渉するかと思っていたが……。シーズンさえ終わっていなかった段階での契約は球団から持ちかけたことは間違いない。大谷サイドは拙速に合意したようにしか見えない」