“吸血鬼”の異名を取り、数々の大型契約を成立させてきたスコット・ボラス氏はかねて大谷を顧客に抱えようと、あの手この手でアプローチしてきた。
「代理人にとって大谷ほど魅力的な顧客はいない。この世界では常套手段だが、ボラスは『バレロに任せていては大きな契約は取れない』などと吹聴し、大谷の(花巻東高校時代の)恩師の佐々木洋監督も切り崩そうとしてきた。今でも大谷を奪い取ろうと、いろいろと仕掛けている。ボラスの動きに危機感を抱いていたバレロが来季契約を急いだことはあり得る」
いずれにしても総額でMLB史上最大級の契約が見込まれる
大谷は17年オフ、23歳で日本ハムからポスティングシステムでメジャー移籍した。25歳になり、労使協定の年齢制限の規定から外れれば200億円の大型契約が可能と言われていた。その道を選択せず、5000万円程度の最低保証年俸でメジャー挑戦した時から、米球界に大谷は常識では計れないとの見方が浸透している。来季契約も金銭面を最優先していない点で矛盾しない。
大谷は次の契約が最初で最後の巨額契約のチャンスとなるはずだ。来オフのFA時か、新オーナーが誕生後のエンゼルスでの契約延長か、それともトレード先での契約延長か。いずれにしても総額でMLB史上最大級の契約が見込まれる。
前出の代理人は今後もボラスの「大谷強奪」の攻勢はやまないだろうと予想した上で「それでも、大谷はボラスに靡かないかもしれない。バレロが不安になるほど、大谷は代理人を代えようなどとは思っていないのではないか。おカネのためだけに野球をしているわけではないという大谷の本質は今も変わっていないと思う。二刀流と同じで、こういう感覚も超人だと思えば腑に落ちる」と自分自身を納得させるかのように述べることで、早々と合意した来季契約の謎解きとした。