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「『赤紙』のイメージから日本は抜け出せていない」ロシアのウクライナ侵攻で他人事ではなくなった? 三浦瑠麗が考える日本の「徴兵」のリアリティとは

三浦瑠麗インタビュー #2

note

女性の地位向上に向けても自衛隊の役割は無視できない

 現在の日本では有事対応に当たるのは自衛隊です。今後少子化が進めば自衛隊は人員確保に苦労することになるでしょう。能力を下げずに現役自衛官を確保するため、これまでごく少数しかいなかった女性に門戸を開き、快適に勤務し平等に昇進できるように努めています。

 まだまだ広報戦略が男性目線に偏りがちであったり、先だって女性自衛官への性的虐待行為の不祥事が認定されたことからもわかるように、まだまだ組織として努力が足りません。ですが、アメリカでマイノリティの地位が向上するのに軍が応分の貢献を果たしたように、女性の地位向上に向けても自衛隊の役割は無視できません。しっかりとやってほしいと思います。

訓練中の陸上自衛隊 ©️時事通信

 人材確保の努力は必要ですが、いずれ現役自衛官の人数はある程度縮小せざるを得なくなるでしょう。そのときに重要なのは予備役の人数を確保しておくことです。まずは自衛官の安い給料を上げること。再就職をしっかり支援すること。アメリカのように奨学金を支給し、大学入学前後に任務についてもらうといった制度改革が必要です。陸上人員の多くは特殊部隊ではなくて、災害対応やいざ本土が戦争に巻き込まれた際の、最後の防衛を担うことになる人員です。予備役が現役と民間人とをつなぎ、日ごろの災害対応訓練に従事し、いざというときには能力を発揮すべきです。

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 日本も常に対外的な危機は抱えていますし、東日本大震災のような大きな災害がいつ起こるか分かりません。ウクライナ侵攻を受けて、巷で荒っぽく論じられがちな「徹底抗戦か降伏か」という議論の前に、有事の時に社会全体で協力できる体制をもっと議論する必要があるのではないでしょうか。

©️文藝春秋

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