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「夫の浮気を疑う母親が、子どもに会社まで見に行かせて…」家事や家族の世話に追われる、ヤングケアラーの“壮絶な実態”

水谷緑さんインタビュー

note

「赤白帽がない」子どもたちが抱える悩みとは…

――主人公のゆいは大人になって家を出てから、少しずつ希望を取り戻していきますよね。ですが、彼女を小学生・中学生の時点で救ってあげるためには、どうすればよかったと思いますか?

水谷 ヤングケアラーの子どもたちは大抵『家の手伝いが忙しくて宿題が終わらない』など生活における困りごとを抱えている場合が多いようです。なので、取材で出会った看護師の方は『患者さんの子どもに積極的に声をかけて、みんなで宿題をやる日を作っている』と話していました。

 ある時は、『体育の授業で必要なのに、赤白帽がない』と困っている子どもの家に行って片付けを手伝ったら、部屋から赤白帽がいっぱい出てきたとか……。それだけ家の中が混乱しているということなんでしょうね。

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――つまり、まずは些細な生活の悩みから解決してあげることが大事?

水谷 ヤングケアラーの子どもは、自分の家の状況が「悪い」とは認識していない場合もあります。その感覚を尊重しつつ、まずは生活の困りごとから入っていくのが良いのではないでしょうか。「かわいそうな子」「問題がある子」として接しないのが大事だと思います。

©水谷緑/文藝春秋

――もし私が大人の立場でゆいと接したら、「大人みたいだね」「しっかりしていてえらいね」と声をかけてしまいそうだなと思います。

水谷 子どもが子どもらしい時間を過ごすことはすごく大事なことですよね。私もゆいちゃんみたいな子が近所にいたら、「よく手伝って偉い子だな」くらいにしか思わないかもしれません。でも、本来は大人がやってあげなきゃいけないことですよね。子どもらしい時間を奪っている事になると思います。

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