ベテラン女優と共演して見えてきた「なりたい自分」
――『天間荘の三姉妹』でも三田佳子さん、寺島しのぶさん、柴咲コウさんといったベテランのかたがたと共演されました。みなさんからどんな印象を受けましたか?
のん まず三田さんはご一緒できてめちゃくちゃ興奮しました! カメラの前で放つ役者の凄みを目の当たりにしましたね。もう強烈にかっこよかった。大ベテランだけど、すごくかわいい演技表現もされるじゃないですか。
見ている側の心に食い込んでくるような魅力をお持ちで、思わずキュンとしちゃいました(笑)。
――寺島さんはいかがでしたか?
のん 役の解釈がとても繊細でした。寺島さんの演技で、その役柄の輪郭が台本以上に浮き彫りになっていましたね。あと、本番での集中力がものすごいんです。だけど控室ではすごく明るくて。
ご自分が「しわが増えたな」とか「肉が付いてきたな」と気にすると、フランス人の旦那さんに「君はそのままが綺麗だよ?」と言われちゃうそうなんだけど、「それって女優としてはちょっと問題じゃない?」みたいな話を、めちゃめちゃおもしろおかしく話されるんですよ(笑)。
――それは楽しそうですね(笑)。柴咲さんはいかがでしたか?
のん 瞳の強さと存在感が素晴らしくて。物語のファンタジーな要素を最も強く担うキー的な役なんですが、柴咲さんが演じることで強烈な説得力が生まれましたね。お人柄はとてもチャーミングで、先輩なのに「かわいい!」って思っちゃいました。しかもいつも物腰が社交的で。
今回のカメラのかたと過去に何度もご一緒されていたそうで、昔の思い出話を一緒にうかがっているとかなりお得な気分になって(笑)。みなさん本当に素敵で、すごく勉強になりました。
――そうした先輩がたをご覧になって、のんさん自身はいまのところどんな風に歳を重ねたいと思われていますか?
のん 表現に対してずっと擦れない自分でいたいですね。どこかで慣れてしまって、何をやっても同じような表現になっちゃうのは嫌だなって。いつもそのときの自分を重ねて、そのときに生まれるもののなかから、ときめきを忘れず、新しい表現を探していきたい。
常に貪欲に「もっといい表現ができるんじゃないか?」と意識しながら、自分自身をよどみなく、真っ直ぐに信じられる人でありたいですね。