パトカーに追われ、逃走資金として少女の親に身代金を要求
実はその3日前の22日、帰らない娘を案じた少女の母親からは地元の警察署に行方不明届が出されていた。だが、そんなことを知るよしもない5人の短絡的な行為はその後もとどまるところを知らなかった。
26日になり、一行は岡山から東へ行った兵庫県たつの市を走っていた。そこで予期せぬ事態に陥る。
「出くわした地元のパトカーに盗難車であることを気付かれ、追跡されたのです。彼らはそこから必死に逃走して、最終的には車を乗り捨ててパトカーをまき、タクシーで隣の姫路市まで逃げていきました」(同前)
その頃、5人の間で誰からともなく言い始めた。
「こいつから取れないなら、親に払ってもらうか。逃げるにも金が要る」
26日未明、男たちは少女の母親に電話をかけた。
「娘を解放してほしかったら300万円払ってもらおうか」
だが突然の要求に対して、母親は「交番に娘を届けて無事が確認できるまで払わない」と拒む。交番に届けられれば、それこそ金を払う必要などなくなるが、考えの浅い5人はそうは思わなかったようだ。
「それならと、5人は交番で少女を解放して金をせしめようと考えました。そこで女であるEが近くの交番に少女を連れて行ったのですが、そううまく事が運ぶはずはありません。一連の事件は交番で発覚し、男たちはそのまま姿をくらましたのです」(同前)
「短絡的で、良心の呵責ちゅうもんが感じられん」
こうして一行の1週間は幕を閉じた。その間、彼らが及んだ犯罪行為は無免許運転や児童ポルノ製造なども含めれば、罪状だけで8種に達する。レイプによる準強制性交等に問われたAは5度、Bは3度逮捕され、残りの3人も複数回の逮捕を経て家庭裁判所へ送致された。逮捕後、「制裁だった」と語ったAは容疑を認め、Bも一部を除いて認めたという。
準強制性交等罪は、5年以上の懲役刑と定められた重犯罪だ。捜査に携わった警察関係者はこうこぼす。
「こんなん末恐ろしい10代の一言で片付けたらあかん。短絡的で、良心の呵責ちゅうもんが感じられん。立派な犯罪集団や」