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 ロンドンへ到着された両陛下が黒いマスクを着用されていたことは話題を呼んだ。エリザベス女王に対する弔意と、コロナの感染対策への意識のあらわれだったと思われる。だが、国葬会場のウェストミンスター寺院ではマスクを着用されることなく、素顔を見せられた。

 雅子さまはブラックのジャケットとスカートをお召しになり、帽子からパンプスまで、喪に服したフォーマルな装いだった。黒はジュエリーの輝きが映える色でもある。中でも印象的だったのは、雅子さまが身に着けられたブラックのイヤリングとネックレスだ。どちらも大ぶりなデザインで、ジェット(黒玉)のように見える。雅子さまのシンプルなジャケット姿をその場にふさわしく、シックに演出していた。控えめながら、皇后陛下としての貫禄を示された。

エリザベス女王の国葬に参列された天皇皇后両陛下 ©WPA Pool/getty

「誰にも負けていない」雅子さまの装い

 エリザベス女王の国葬は世界中で大きく報じられ、イタリアの新聞「Corriere della Séra」では参列した各国の王室メンバーのファッションを取り上げる中で日本の徳仁天皇と雅子皇后について言及し、「式典と儀礼を尊重することにおいては誰にも負けていない」と述べている。

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 令和の時代に、両陛下による「皇室外交」が期待されたが、コロナ禍でなかなか実現しない状況が続いた。イギリスご訪問での雅子さまは、静かでいて堂々とした存在感のあるお振る舞いをなさっていたように思う。

 たとえば、滞在先のホテルを出発する際、見送る関係者の前をそのまま通りすぎそうになった陛下に、雅子さまがそっと声をかけられて、気がつかれた陛下があらためてお礼とご挨拶を述べられていた。こうしたさりげないやり取りは、取材設定がある場所や国内ではなかなか拝見できず、貴重な機会だといえるだろう。この場面の動画がSNSで拡散されて話題を呼んだ。