彼女らのブルーカラーの制服もオシャレでどこかセクシーで魅惑的だった。特に『それいけ! アンパンマン』(’88年~)のアンパンマン役や、同名の主題歌も大ヒットした『キャッツ♡アイ』(’83年)の怪盗3姉妹の次女・来生瞳役等で、すでに大人気声優の座を獲得していた戸田は、本作で売れっ子女優の仲間入りも果たした。以後は『お水の花道』(’99年)やNHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』(’01年)などの話題作に次々に出演。2022年現在も変わらず第一線で活躍中だ。
「アルバイトを辞められなかった」生活も激変
原作を、より膨らませたエリート系のライバル、隙あらばショムニ・チームを追い出さんとする上役とその腰巾着、そして陰ながら彼女らに味方するこれまたエリートな二枚目……という王道的なサブ・キャラクターたちの設定も、人気に拍車をかけた。
ショムニの仇敵ともいうべき、寺崎寅男人事部長役の高橋克実、寺崎にゴマをする野々村課長役の伊藤俊人コンビも本作出演後、お茶の間の人気者となった。第1シリーズ放送当時はまだアルバイトがやめられなかったという高橋は、『ショムニ』で一躍脚光を浴び、後に『トリビアの泉~素晴らしきムダ知識~』(’02年)の司会で大ブレイクを果たす。
三谷幸喜主宰の劇団・東京サンシャインボーイズ出身の伊藤さんは三谷脚本の『古畑任三郎』シリーズや『王様のレストラン』でそれなりに知名度はあったものの、人気を決定的なものにしたのは本作だった。
その伊藤さんは2002年5月24日に突然のくも膜下出血で、40歳という若さでこの世を去った。特に戦友ともいうべき高橋の落胆ぶりはテレビ画面を通じても視聴者に伝わり、共にその死を惜しんだ。近年では、千夏のライバル・杉田美園役を演じた戸田菜穂さんが中心になって毎年、伊藤さんを偲ぶ会を開催しているという。この絆の深さも『ショムニ』の魅力に繋がったことだろう。