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“企業ドラマ”“OLドラマ”を開拓した『ショムニ』と世紀末

 余談だが、昭和42(’67)年生まれの筆者の目に、『ショムニ』は沢たまき、応蘭芳、八代万智子ら主演で大ヒットした名作ドラマ『プレイガール』(’69年)の再来に映った。

 また、個性豊かでちょっぴりセクシーな美女チームとユニークな敵(ライバル)、さらに主人公たちに陰ながら手を貸す謎の(?)二枚目(イケメン)的なキャラクター配置から、大ヒットアニメ『美少女戦士セーラームーン』(’92年)の影響も少なからず受けている印象を受けた。そのリーダーとして当時、誰にも媚びない、“いつでも女優をやめてやる”と思っていた江角さんはうってつけであり、まさに“ハマった”のだ。とにかく千夏はかっこよかった。

 文字どおり男勝りの美女たちが、日常の悪や理不尽を懲らしめて視聴者をスカッとさせるドラマが求められていることを実感するとともに、『ショムニ』がそれを’90年代末~2000年代に見事復活・新生させた事実を再認識した。

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 ’97年スタートの『踊る大捜査線』が従来のラブストーリーや青春ものとは異なる魅力を持つ“警察ドラマ”という新ジャンルを確立させたように、『ショムニ』もまた“企業ドラマ”、“OLドラマ”という新境地を開拓することに成功。『踊る大捜査線』と並ぶ、フジテレビを代表する大ヒット・コンテンツとして長く愛されるに至った。

2013年、ドラマ『ショムニ2013』(フジテレビ系)の制作発表会見に出席した江角マキコさん。ミニスカのOL制服姿で登場し脚立の上でポーズを決める ©時事通信社

 その背景には、江角さんをはじめ“常に新しいものに挑戦したい”という当時の女優たちや制作スタッフ陣の飽くなきチャレンジ魂があった。『ショムニ』に限らず大ヒットドラマは作品自体の持つパワーとエネルギーで、それに関わった人間たちの運命をも変えてしまう。『ショムニ』も、出演者やスタッフたちのその後を追ってみるのも一興かもしれない。

 だが、今も『ショムニ』ワールドの中で千夏は、脚立片手に己の信念を貫き続けていることだろう。