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「冠動脈に空気が入ると、心筋保護液は、空気にブロックされて心筋に届きません。さらに空気の一部は冠動脈周辺の心筋に入り込みます。心筋が広範囲に壊死し、心筋梗塞を発症したと考えられるのです」(同前)

 これは、致死的な「空気塞栓」と呼ばれる症状だ。

検証結果を伝えても調査は「承服しかねる」と答えていたが…

 Aさんらはビデオの検証結果を伝え、國土氏が理事を務めてきた日本医療安全調査機構による調査を改めて求めた。だが、病院長名で9月26日、調査について「承服しかねる」と記した文書が届いたという。

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センター病院から調査は「承伏しかねる」と回答

 長谷川氏は「週刊文春」編集部を通じ、10月11日、空気塞栓の可能性、事故調査の拒否などへの見解を尋ねる詳細な質問状を送付。病院側は10月13日、個別の質問には「回答を控える」とし、主に以下のように回答した。

「当該事案については、医療法上の『医療事故』として、医療事故調査・支援センターへ報告し、より透明性の高い形での調査が行われるようにしていく方針であり、現在、当該報告に向けた手続きを取っているところです」

日本最先端の研究を行う国立国際医療研究センター ©️時事通信社

 長谷川氏の取材に対し、医療事故として調査を進める旨を認めた国立国際医療研究センター病院。第三者機関である日本医療安全調査機構による真相究明が望まれる。

「週刊文春 電子版」にて現在配信中の長谷川氏のレポートでは、関係資料を基にしたより詳しい病院側と遺族とのやり取り、手術ビデオを検証した別の外科医の証言、髙本氏が日本心臓血管外科学会雑誌に特別寄稿した“異例論文”の中身、機能不全との指摘も出ている医療事故調査制度の問題点、再発防止を切に求める遺族の願いなどについても、詳報している。

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