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 猟友会の1人が現場から100mほど離れた山道を捜索していると、クマと遭遇。クマは、口を大きく開きハンターを威嚇した。猟銃を向けると、横を向いて逃げ出そうとしたため、発砲。右わき腹に当たり、倒れたところをもう一発打ち込んで仕留めた。体調145㎝、体重100㎏のオスのツキノワグマだった。

 夕方、新庄署でクマを解剖した結果、Cを襲ったクマと断定されたが、AとBを襲ったクマなのかはわからなかった。

加害グマは単体か複数か? 専門家でも意見が割れる

 一連の犯行は、1頭によるものなのか、それとも複数によるものなのか? 動物学者や地元猟友会でも意見は分かれた。

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 1頭説の論拠としては、犠牲者の遺体の損傷部位が似ているということ。また、最初の2件の現場が近いこと。直線距離で4~5㎞、山の起伏を計算に入れると、10㎞ほど離れた3件目についても、それくらいの距離なら移動することは可能だという。

 複数頭説の論拠は、1件目の事件の時、杉沢地区で捜索隊が見かけたクマが、3件目で射殺されたクマの145㎝、体重100㎏よりも、「もっと大きかった」という証言があることだ。

(画像:1988年10月10日の山形新聞より)

 さらに、3件目の事件の射殺現場付近には糞がいたるところにあり、寝床にしていた場所が数カ所見つかっていることから、長い間その場所にいたとも見られたことも理由の一つだ。

 地元猟友会は、万が一複数頭いて、まだ他のクマが生きている場合に備え、安全策をとり檻を2カ所に設置し、毎日見回ったという。