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「両足の肉がほとんど食い尽くされていた」留守番中の11歳少女を襲った「1904年のヒグマ襲撃事件」の惨劇

『日本クマ事件簿』 #3

2022/10/30
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必死の捜索の末に…

 夕刻、畑仕事から自宅へと帰ったA夫婦に不安が襲った。いつもいるはずのBが家のどこを探してもいなかった。さらには、家屋の内外がただならぬ雰囲気を醸し出していた。

 A夫婦は即座に近所の者に状況を知らせ、応援者とともにBの捜索を始めた。しばらくすると、家から50mほど離れた場所に点在する血痕を見つけた。

 血痕をたどると、さらに50mほど進んだ場所で布切れを発見した。イバラの小枝に引っかかった布切れをよく見ると、それはBの着物の一部であった。

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 不安は増すばかりであったが、さらに捜索の範囲を広げ、Bの行方を懸命に探し続けた。着物が引っかかっていたイバラから、さらに600mほど先の林の中へ入ると愕然とした。

 笹藪の中に遺体が発見された。臀部と両足の肉がほとんど食い尽くされていた。周囲には内臓が飛び散っており、全身に無数の爪痕が残されていた。無残極まりない、変わり果てた姿だった。

(画像:風来堂)

 その後、少女を襲ったヒグマの捜索が続けられたが、ついに捕獲されることはなかった。

 なお、少女とその家族を襲ったこの一連の悲劇は、「下富良野少女ヒグマ襲撃事件」として、当時の新聞『北海タイムス』が報じている。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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「両足の肉がほとんど食い尽くされていた」留守番中の11歳少女を襲った「1904年のヒグマ襲撃事件」の惨劇

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