金融庁の伊藤豊・監督局長(58)が、2020年7月、後にインサイダー取引事件を巡って起訴される人物との宴席を巡って、国家公務員倫理規程に違反している疑いがあることが、「週刊文春」の取材でわかった。

 伊藤氏は東京大学法学部を卒業後、1989年に旧大蔵省に入省。早くからエリートコースを歩み、2015年7月には、歴代事務次官も務めた出世ポストである秘書課長に就任した。

東大野球部出身の伊藤氏 ©時事通信社

「秘書課長時代に起きたのが、森友事件です。改ざんに関する調査報告書を取りまとめる立場でした。その後、本人の希望もあって金融庁に転じた。2019年7月に総合政策局審議官(監督局担当)、2021年7月に総合政策局総括審議官、今年6月に監督局長に就任しました。次の長官が確実視されています」(財務省関係者)

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インサイダー事件の被告、“令和のフィクサー”の3人で会食

 その伊藤氏が宴席を共にしたとされるのは、先端医療を手掛ける「セネジェニックス・ジャパン」元取締役の竹森郁被告。今年2月25日、金融商品取引法違反(偽計)などの容疑で逮捕され、現在公判中だ。

「セネ社は新型コロナ治療薬の開発を巡って業務提携していたバイオベンチャー企業『テラ』の株価を吊り上げるため、2020年10月、同社に虚偽情報を公表させたとされています。当時、テラの関係先として、“令和のフィクサー”として知られる『大樹総研』会長の矢島義也氏も家宅捜索を受けました」(社会部記者)

テラを家宅捜索する警視庁の捜査員 ©時事通信社

 このインサイダー取引事件を巡り、10月19日、東京地方裁判所で竹森被告の被告人質問が行われた。この場で竹森被告は以下のように証言している。

《令和2年(2020年)7月2日の午後5時に矢島さんの経営するレストランで、矢島さんと伊藤さんと私、3人で会いました》

 竹森被告は旧知の矢島氏に伊藤氏を紹介されたという。さらに、宴席の会費約10万円については竹森被告が負担したとし、《1本5万円くらいする高級ワイン・オーパスワンを2本買って伊藤審議官に渡しました》などと証言した。