「そんなお金は一切受け取っていない、と言うんです。中には懇意だと言っていたのにHと会ったのは2度目という関係者さえいました。そんな馬鹿なと思ってお金を渡したはずの『アウト×デラックス』の制作幹部にも連絡したのですが『まずは会って面白ければ出演させようと思っただけで、お金を受け取ったりはしていない』と……。要するにHは私から金を巻き上げるだけで、出演を決める権限は一切なかったんです」
しまだ氏はH氏に対する訴訟を決意し、証拠を集めはじめた。するとその矢先、H氏から電話がかかってきたという。
「私が『証拠を揃えて詐欺罪で告発する準備をしている』と伝えると、『詐欺ってどういうことですか?』とHは詰め寄ってきました。しかしテレビ局の制作スタッフから証言を得ていると伝えると一転して『1回逮捕されているんで、どうか警察にだけは……』とすがりついてきました。それでも総額で800万円近い大金をだまし取られたわけですから、警察に被害届を提出しました。PABLOの社長のK氏も事態を把握しているはずだとは思うのですが」
そのK氏の名前がTKO木本の事件で浮上した時は、しまだ氏も驚いたという。
「TKOの木本さんから5億円以上のお金を預かったM氏は、いわばPABLOのK社長の“子分”なんです。M氏とは六本木の会員制バーで会ったことがあるのですが、Kのことを『会長』と呼んで慕っていました。その名前をまた見ることになるとは、と驚きました」
取材班は2つの事件で名前が登場したK氏に、事情を聞くために声をかけた。するとPABLOの取締役だったH氏がしまだ氏から金銭を受け取っていたことを認め、経緯を説明した。
「しまだ氏の一件を知ったのは今年6月です。ある知り合いから『Hくんがこんなことしてるみたいですよ』と聞いて驚き、Hを事務所に呼び出しました。すると一連の事実を認めたうえで『助けてください』と泣きつかれましたが、詐欺行為ですから当然認められません。他の従業員に話を聞いたら会社の金を横領していた可能性があることがわかり、9月にクビにしました」
TKO木本の巨額詐欺事件の中心人物とされるM氏との関係について尋ねると、次のように説明した。
「木本さんの件は、報道で初めて知りました。もちろん私は関与していません。Mと知り合ったのは芸能関係者の紹介で、『アパレル会社の社長をやりたいので協力してください』と相談されてお金を出しました。Mが作った会社の取締役にも名前を貸しましたが経営には全く関わっておらず、口座すら見たことがありません。今は取締役も辞めています。Mが勝手にPABLOの名刺を作って使っていたと聞きましたが、雇用関係もありません。ただ私個人がMの連帯保証人になっている件はいくつかあり、その確認をしたいのですが数カ月音信不通が続いている状態です」
「実際にテレビ局側に渡した部分ももちろんありますよ」
さらに取材班は、しまだ氏が警察に提出した被害届の当事者であるH氏からも話を聞くことができた。
「しまださんから合計800万円弱のお金は確かに受け取りました。ただ、しまださんがコネクションを作れるようにテレビ局関係者や芸能関係者に紹介して、相応の取り分としてもらった部分もあります。しまださんがどう話しているのかわかりませんが、食事中などに口頭で話していたので、細かい条件などは食い違っている部分もあるかもしれません」
しまだ氏から受け取った金銭をテレビ局に渡していたかを確認すると、H氏は「フジテレビのスタッフには実際に渡していますよ」と断言した。
取材班はフジテレビに対して、H氏からスタッフが金銭を受け取ったかについて事実確認を行ったが、「ご指摘のような事実はございません」と回答した。
しまだ氏、H氏、テレビ局の主張ははっきりと食い違っている。芸能界の健全性を保つためにも、真相の解明が待たれる。