文春オンライン

2022/11/03

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 社会, 政治, 教育

 大助さんとさおりさんは極めて理性的で、善良な人物だ。学校やいじめの加害者に対しては当然、強い憎しみもあるだろうに、それは決して表には出さない。そんな2人だから、相手に無断で録音したものを、第三者である私に託すことには、後ろめたい気持ちも少なからずあったことだろう。

 一方で、勇斗くんの死後に何が起きたのかを検証する上で、これほど強力な物証は他にない。この録音に残された登場人物の会話を精査するうちに、まだ公になっていなかった事実が、次々と明らかになっていった。

亡くなった勇斗くんの幼い頃(写真:両親提供)

3年の取材で見えたもの

 本書に記された当事者たちの会話の中身が生々しいのは、この録音の書き起こしを基に構成しているからである。そこに私の3年間の取材成果を加えて、大助さんとさおりさんが愛息の死後に辿った道筋の全貌を綴った。

 子供が自殺すると、その親にはどんな現実が降り掛かるのか。何を考え、どう行動せざるを得なくなるのか。ましてや、いじめが原因と疑われるのに、学校側がそれを認めなかったとしたら。

 そのリアルを少しでも感じ取って頂ければ幸いである。

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【厚生労働省のサイトで紹介している主な悩み相談窓口】
▼いのちの電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)、0120-783-556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前9時)
▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▼よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120-279-226(24時間対応)

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