今年1月、沖縄市内の路上をバイクで走っていた少年と巡回パトロール中の警官が接触する事故があった。その際、警官の持っていた警棒が少年の右目に当たり、少年は重傷を負い、失明してしまった。
当初、少年側と警察の見解は平行線だった。職務執行上の事故であり、故意に少年を負傷させる気はなかったと警察が発表する一方、少年は警官から故意に暴行を受けたとSNS上などで主張していた。
沖縄県警は慎重に事故を捜査していたが、11月2日、少年への暴行に故意があったとして、重傷を負わせた警察官を特別公務員暴行陵虐致傷の疑いで書類送検。同時に県警本部長が謝罪した。
1月の事故でなにがあったのか。少年の仲間たちがとった警察署への抗議の暴動の様子を含む、事件の真相を追った記事を再公開する。(初出:2022年1月28日 肩書・年齢は当時のまま)
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「最初は睨みあいだったのですが、どこからともなく生卵が投げられ、続いてロケット花火、爆竹、投石とどんどんエスカレートしていった。報道では『約300人が集まった』とされていますが、もっと集まっていたと思います。夜中にはテレビやSNSを見て、500人以上はいました。熱気が高まってくると、警察署の壁はスプレーで落書きされ、鉄パイプを振り回す者も現れて、窓ガラスも割れていました。若者たちは暴徒と化して、どんどんエスカレートしていきました」(近隣住民)
1月27日深夜、沖縄県警・沖縄署の前に多数の若者が集まり、警察署に投石をするなどの暴動事件がおきた。警察署周辺には、石や空き缶など多量のゴミが散乱し、正面玄関のガラスをはじめ、警察車両のフロントガラスも割られていた。また、署の壁には赤いスプレーで「しね」と落書きがされていた――。
暴動の発端は少年と警察官との「トラブル」
暴動の発端は27日未明におきた、17歳の少年と警察官とのトラブルだった。地元紙社会部記者が語る。
「県警によると27日の深夜1時ごろ、『複数の暴走行為がある』との通報をうけた警察官が市内路上をパトロールしていた際、バイクに乗った17歳の少年と接触。少年はその際に眼球破裂と眼底骨折の重傷を負ったと県警は発表し、地元メディアも『警察と少年の接触事故が起きた』と報じました。
報道後、少年の知人たちが『少年は警察官から警棒で殴られた』『失明するかもしれない』などとSNSに投稿。それを見た若者たちが『これはやりすぎだ』と警察署の周囲にどんどん集まったんです」
怪我を負った少年は自ら119番通報したという。少年の友人が撮影したとみられる動画には、救急隊員が介抱するなか、倒れた少年の目から多量の血がながれる様子が収められていた。
少年の知人によると、少年は暴走族ではなくコンビニにたむろしていた地元の高校生だったが、補導されるのを恐れ、逃げ出そうとしたところを警察官から警棒で暴行を受けたという。