「髪とか肌とかボロボロになるのは覚悟」「食べ過ぎると死ぬよ」
危険な痩せるゼリーを販売しているA氏の手元には、また別の商品があるという。健康被害にあった他の購入者のもとには、さらなる危険なお誘いがあった。
「ある日『チョコはどう?』と連絡がきました。このチョコレートには『デトキシレットゼリー』よりもっとたくさんの痩せる成分が入っているという話で、その分値段も高くなって1瓶30粒入りのチョコが2瓶で9000円。痩せるには痩せるけど『髪とか肌とかボロボロになるのは覚悟』『食べ過ぎると死ぬよ』って言われて、さすがに怖すぎてチョコには手を出しませんでした」
この痩せるチョコレートも、じわじわ国内に広がっている。逮捕にまで至ったジャン容疑者のもとから押収された品目にもこのチョコレートが含まれていた。厚生労働省によると、「デトキシレットゼリー」以外にもチョコレートによる健康被害が今年の4月以降、相次いで報告されているという。これら危険な“痩せる食品”への注意喚起をしつつ、販売者には行政指導も行っている。
A氏は「日本に輸入されている製品が悪いものだと思わなかった」
取材班は、健康を害した購入者にゼリーを売っていたA氏に接触した。
「私もゼリーを使用してダイエットを試みている時、動悸のせいで噛むのと飲み込む動作が辛くて、お茶碗半分のごはんを食べるのに30分はかかりました。それでも日本に輸入されている製品が悪いものだと思わなかったので……。体重を落とすために、ゼリーでもチョコでも無理に食べ過ぎたら危ないよという意味で『食べ過ぎたら死ぬよ』と購入者の方たちに言ってきただけです。500箱ほど販売しましたが、シブトラミンが入っていたことは知らなかった」
と、ジャン容疑者と同じような言葉を並べ、販売したもののうち未開封の商品に限り回収と返金を行っていくつもりだと語った。
こうした販売者は他にも多くいる。痩せるゼリーはいまなおインターネット上で時に大々的に、時にひっそりと売り続けられている。中には、別の健康商品のオマケに痩せるゼリーが付くという、巧妙な販売方法もある。我が身に健康被害が出てからでは遅い。