「予定のない山小屋にもズカズカ入ってください」
――「道」と決めたら、「道」から「山」へと派生していく。本当にブレない、動じない方であるように思います。「知らない世界」というと、イギリス・オックスフォード大学ご留学にもそういう印象がありますね。老舗のパブなどへ足を運び、“普通の生活”を送られた経験に今も支えられているのではないかと。
大木 これも写真家の白簱さんが話してくれたことですが、若い頃の陛下がある山へ登るとき、「予定のない山小屋にもズカズカ入ってください」と陛下に耳打ちしたらしいんです。白簱さんの友人や知り合いがいる山小屋には事前にひとこと連絡しておいて。すると陛下は、その通りためらわずに山小屋へ入っていった。警察やお付きの職員たちは予期せぬ事態に大慌てなのですが、陛下は自然な感じで人が集まっている山小屋の中で、皆さんに囲まれたことを非常に喜ばれたそうです。
陛下はお茶目でダジャレがお好き
――陛下はそういう自然な触れ合いを期待されているのですかね。皇太子時代の地方公務などでは、よく「サプライズ」があって、予定のないところで5分だけ、皇太子ご夫妻を一目見ようと集まった人たちへお声がけをする……という場面に何度か遭遇したことがあります。
大木 その通りだと思います。まさに「たまたまそこにいた人」ですから。特に山小屋のような場所では飾らずに、さまざまな話ができたのではないでしょうか。陛下は非常にお茶目でダジャレがお好きで、冗談を言って周囲を笑わせることも多いそうですよ。愛子さまも記者会見でその一端が明らかになりましたが、とてもお茶目な女の子だといいます。
――分かる気がします。そうしたお茶目なところは、もっと目にしてみたいですよね。
大木 お茶目と言えば、「ウルトラセブン」の逸話を思い出します。陛下がウルトラセブンと一緒にガッツポーズをしている写真がネット上で話題になったのです。なんでも学習院に「ピラミッド校舎」という近未来的な建物があって、それが昔ウルトラセブンの撮影に使われたらしいんですね。その建物が取り壊されるというので、陛下が記念講演をされた。その際にウルトラセブンも「特別ゲスト」として来ていて、対面を果たしたようなんです。
――陛下もウルトラセブンがお好きだったとは。当時の少年たちはみな熱中しました。
大木 お好きだったのは間違いないでしょう。ウルトラセブンは1967年に放映開始された特撮ヒーロー物のテレビ番組ですが、当時陛下は7歳でした。放映開始の半年前にデパートの書籍売り場で「怪獣図鑑」という本を350円で購入したことが当時の新聞に載っています。セブンは陛下にとってはヒーローだったのではないでしょうか。一緒に記念写真におさまる陛下は本当に嬉しそうな表情をしています。
(後編に続く)
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