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「自殺した患者の存在さえ“口説き“の道具に」女性患者を信頼させて性的関係に持ち込む精神科医のあまりに卑劣な“手口”とは【鹿児島精神科の不倫・女性患者自殺トラブル】

「自殺した患者の存在さえ“口説き“の道具に」女性患者を信頼させて性的関係に持ち込む精神科医のあまりに卑劣な“手口”とは【鹿児島精神科の不倫・女性患者自殺トラブル】

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「お話してくれたのは、C子さんの母親の倉岡祐子さんという女性です。彼女が、亡くなった娘C子さんとX氏の間で交わされた膨大な量のメールのコピーを送ってくれました。X氏が送ったメールの中には、『元気になったら揉ませてくれ』などの性的な言葉や『向精神薬の窃盗、同行使なら実刑で5年は行くから』『今までのメール消せよ』などの脅し文句がこれでもか、と並んでいました。通院が始まった初期はX氏も明るい雰囲気だったのですが、次第に高圧的・支配的になっていき、それにつれてC子さんの精神状態が崩れていったことが見てとれます」(同前)

X氏がA子さんに送っていたLINEには性的な文面が

 それでもC子さんはX氏と性的関係を結んでしまった。その背景には「処方されていた薬の影響もあるのではないか」と米田氏は言う。向精神薬などを服用すると気持ちが落ち着く一方で、意識が朦朧として判断能力が著しく低下することもある。そのような状態の患者を精神科医が籠絡するのは簡単だという。

「ある患者の方が『薬を飲んでいると、ぼーっとしてどうでもよくなる』と話していたことが印象的でした。もちろんそれがただちに治療から逸脱しているとは言えず、私が『多すぎる』『強すぎる』と考えても、医師が『必要だと思って処方した』と言えばそれを崩すことは難しい。ただX氏はC子さんに強い薬を処方したうえで両親の悪口を吹き込んだりして孤立させ、自分に依存するように仕向けた形跡があります。C子さんは最終的に『もう一回病院に通い始めた頃からやり直したい』とX氏にメールを送って自殺してしまいました。薬の副作用もあって繊細なケアが必要な状態のC子さんにX氏がした行為は、適切とは言えないと考えています」

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「本来ならばX氏を暴行や準強制わいせつなどに問いたかったのですが…」

 C子さんの母から事件の顛末を知り、米田氏はX氏のクリニックについての調査を本格的に開始した。

X市のクリニックがあった垂水市のビル

「X氏を強制わいせつや脅迫などの罪に問いたかったのですが、医者の地位は法律的にかなり守られていて難しい。ただ経験上、女性との関係に問題がある精神科医は倫理意識が低く、診療報酬の不正などもしているケースが多い。それで調べていくと、C子さんの父親の元に心当たりのない薬や医療記録が届いていたことがわかりました」(同前)

 X氏はC子さんに父親の保険証を持ってくるように伝え、それを使って父親を診療したかのように見せかけ、健康保険から医療費をだまし取っていたのだ。米田氏はその事実を伝える告発状を作成し、さらに周辺調査に力を入れた。すると、X氏の性的な被害に遭っていた女性が複数いることが判明した。

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