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「体調が悪くなったら死ぬだけ」ジタバタしない生き方

――吉本に所属しながら、20年間バイトし続ける継続力がすごい。

ピストジャム 最低限の生活費のためですから。又吉(直樹)さんからは「狂気を感じる」と言われましたが、売れてない芸人はみんなバイトしていますし、別に珍しくもないんです。

ピストジャムさんと親交の深い又吉直樹さん ©深野未季/文藝春秋

 ただし芸人として、好きなことだけをやって生きていくと決めた時点で、普通の人生を送れないことは覚悟しています。世間一般で言うと僕、失ったものも大きいと思うんですよ。

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――例えば?

ピストジャム 44歳で独身で、子供もいない。今まで付き合った彼女は、こいつお金ないし結婚は無理だなと思うのか、離れていく(笑)。子供の頃は、大人になったら自分も結婚して家庭をもつのかな、と漠然と思っていたけれど、今は、自分が結婚に向かないタイプの人間ということがよくわかります。

©佐藤亘/文藝春秋

 仮に、一緒に暮らしている相手が体調を崩したとします。そうなったら、僕のバイトの収入だけでフォローするのは難しい。お金があれば解決する問題なので、売れてお金を稼げるようになりたいという気持ちは強くなるのかもしれませんが……。

――お金がかかるのは、自分自身の体調が悪くなった時も同じでは。

ピストジャム 自分の場合、体調が悪くなったら死ぬだけだと思ってるので、そこは全く心配していないんです。

――あまりジタバタせず、しなやかに生きている印象です。思いつめない秘訣は何でしょう。

ピストジャム 単純に、目の前のことを一生懸命にやっていれば、次の日が勝手にやってくるという感覚ですね。

 途中で何か目標を立てたとしても、取り巻く環境はどんどん変わっていく。それに応じて、自分のなかで常に軌道修正をしているんです。だから、自分に厳しくせず、「どうせ死ぬねんから、先のことは何も考えんとこう」という姿勢。ただ、ベストの「楽しい」はまだ来ていませんね。売れることが目標で、まだ売れていないので。