“寮母さん”のように甲斐甲斐しく動く「ジャニー社長」
大型高級ホテルの2部屋続きのVIPルームに滞在して、常に小学生から中学生の少年たちと行動をともにする。もちろんその少年たちのなかにその後デビューして有名になった人物も多い。
ジャニー氏自ら車を運転して少年たちとともにスーパーマーケットに向かったかと思うと、カートを押して夜ご飯のキムチ鍋の材料を選んでいく姿。ホテルに戻り、ランドリーコーナーで少年たちの下着を預かり自ら洗濯する姿。まるで“寮母さん”のように甲斐甲斐しく動くのが「社長」だった。
かとおもうと、「やべえよ、眼鏡を洗濯機に入れて洗っちゃったよ!」と、少年たちと一緒にはしゃぐ姿――。全員からの信頼感が見て取れた。
実績に伴うタレントたちからの尊敬の念
一方で演出家・プロデューサーとしての行動に驚いたのは帰路の飛行機内のことだった。ホノルルから関西空港に向かう機内でジャニー氏が観ていたのは、当時話題となっていた映画「陽はまた昇る」だった。あらすじの詳細は割愛するが、家庭用VTRの開発競争を描いたこの映画のラストは、工場の屋上で社員が人文字で「VHS」と描くという感動のシーンだ。
その場面を観ながら、ジャニー氏は小さな紙に「人文字・ボンボン」とだけ書いていたのが筆者の目に入っていた。
驚いたのはその2、3日後だ。関西に降り立ったジャニーズ一行はすぐにコンサートが控えていたのだが、その模様がスポーツ紙に大きな写真付きで報じられた。そこにはジュニアたちが「Johnny’s」とボンボンを持って人文字を描いていたのだ。観たばかりの映画の感動の場面をすぐに取り入れ、演出として実現し、大きなニュースにするチカラ――。
「トップ自らが絵を描けた。それを実現することでアイドルとして大成できるという実績、伴うタレントたちからの尊敬の念があったんです」(前出・芸能関係者)
その遺志を継いでいたはずのナンバー2・滝沢秀明がいなくなった今後、ジャニーズ帝国の崩壊が加速度を増すことにはならないか。注目は続いていく。