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 今回のカタールW杯の結果や選手の声を聞くと南アフリカW杯での戦いや、大会が終わった後の選手のコメントに非常に良く似ている。

 日本代表は、時計の針を12年前に戻そうとしているのだろうか。

「僕は、12年前のやり方に戻ったことを悲観はしていないです。ドイツ、スペインと戦って勝ちましたけど、冷静に考えても自分たちが主導権を握って、この2チームを圧倒する力はまだないと思います。そこは認めないといけない。日本は、まだ世界のトップレベルではない。

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 だからこそしっかり守ってカウンターをして、本当に少ないチャンスを活かして結果を残していかないといけないと思っています。今回のサッカーが今の日本のレベルでの限界かな。この限界を突破するためには、攻撃面でまだまだやることが多いかなと思います」

©JMPA

森保ジャパンで長友が果たした役割と残したもの

 ベスト16でクロアチアに敗れ、いろんな課題が見つかった。一方で、ベテラン選手が残したレガシーもある。とりわけ、このチームで長友が果たした役割と残したものは非常に大きい。若手選手に大きな影響を与え、チームを盛り上げた。

 スタメンでプレーした時は、左サイドを駆け上がり、アグレッシブに攻撃を仕掛けた。ベンチに下がっても立ち続け、ベンチの前に出て、味方を鼓舞した。チームメイトに「イエローが出るよ」と注意されたが、「まだ1枚ももらってないから大丈夫」と言い、魂が入った熱い応援をしていた。まるで何かに取りつかれたかのようにチームをサポートしていたのには、どういう理由があったのだろうか。

長友は今大会、チームを鼓舞し続けた ©JMPA

「このチームの中では、自分が一番W杯を経験しているというのもありますし、このチームの選手のひとりひとりの個性を考えた時、自分はどういうキャラクターでいればいいのかも考えたんです。その結果、自分がどんどん熱を出していくべきだと、使命的なものを感じました。ファッションも含めて、言動で熱を出すことで、チームに確実にプラスになると思ったんです」

 W杯未経験で若く、比較的おとなしい選手が多いチームにあって、長友の熱い言動は周囲の選手を嵐のように巻き込んでいった。