網タイツ、資産防衛、まつエク、稲田朋美
それに対して稲田朋美はどうか。週刊文春と週刊新潮から、それぞれ3つずつ代表的な稲田記事の見出しを拾うと、こんな調子である。
▼週刊文春
「"網タイツの女王"は3年後の総理!? 稲田朋美『身体検査』 150分」
「産経まで見放した"えこひいきの女王" 稲田朋美防衛相の本性」
「不動産8軒所有で総額10億円! 稲田朋美『資産防衛術』の研究 」
▼週刊新潮
「『稲田朋美』防衛相のファッションはなぜ田舎臭いのか?」
「まつエクしてる場合か『稲田朋美』」
「弁護士なのにメディア訴訟2連敗! 『稲田朋美』夫妻の弾圧傾向」
ファッション、コスメ、夫婦生活、資産形成、……ミセス向け女性誌を擬人化したかのような稲田朋美である。
政治を語るときは風俗を語るように語れ
「風俗を語るときは政治的に語れ。政治を語るときは風俗を語るように語れ」。文春今週号の水道橋博士「週刊藝人春秋Diary」に登場する、大宅壮一の箴言である。久米宏が座右の銘とするこの言葉について自著で述べている箇所を、プチ鹿島がウーマン村本を評するのに引用していて、それを紹介している。
これに似たことを、週刊現代の名物編集長だった元木昌彦は、婦人雑誌の編集者だった若い頃、企画の極意として先輩に教えられたと書いている。「キミもビリヤードはやるだろう。スリークッションは相手の玉を直接狙わない。反射角度を計算して狙い撃つ。つまり一呼吸入れる。それと同じだな」(注)と。
おもえば稲田朋美はまつエクや網タイツ、ミニスカといった風俗を身にまとい、メディアにそれらでワンクッションさせてから政治を語らせる。女性週刊誌のみならず、どストレートのスクープ中心の文春・新潮にあってもだ。
婦人雑誌の世界を一般週刊誌に持ち込んだ稲田朋美、さすが網タイツの女王である。
(注)元木昌彦『週刊誌編集長』展望社