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 現役選手で今後入会の条件を満たしそうな選手は、投手では田中将大(楽天)、ダルビッシュ有(パドレス)が日米通算200勝にそれぞれ残り10、12勝。だが、やはり打者の方が入会の条件を満たしそうな選手が多く、1923安打の中島宏之内野手(巨人)、1885安打の大島洋平外野手(中日)、1831安打の松田宣浩内野手(巨人)らが「候補」として控えている。「投打の格差」は当分埋まりそうにない。

ダルビッシュ有 ©時事通信社

新理事長の肝煎り案件だった

「2000安打と200勝の難度は時代とともに変わってきた。NPBは今季こそ投高打低だったが、トレーニング法や打撃マシンの進化などで長く、打者優位が続いてきた。投手は肩、肘の負担から過度な投げ込みはできない。先発投手は昔のような試合数をこなさず、分業制の確立もあって勝ち星が付きづらくもなった。既にメジャーでは殿堂入りの目安である300勝を下方修正するという話が出ている。名球会も執行部が交代し、ようやく前時代的な基準の見直しへ重い腰を上げたということだ」(元NPB球団監督)

 藤川、上原両氏が名球会入りした日の総会では、古田敦也氏(57)=元ヤクルト=が新理事長に就任した。「ミスター赤ヘル」山本浩二氏(76)の後任で、大幅な若返りとなった。

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古田敦也氏 ©文藝春秋

狙いは名球会のイメージチェンジか

 古田氏は日本プロ野球選手会会長時代の04年、球界再編騒動で近鉄とオリックスの球団合併に反対し、ストライキを敢行。ヤクルトでは捕手兼任監督となり、随所にリーダーシップを発揮した。

「引退後も野球の最新のトレンドを評論家として見てきた。19年の(特例導入時の)総会でも上原のことを俎上に載せた。今回の特例は新理事長肝煎りだった。今後を見据え、投打のバランスを整えていこうと、新たな入会者は投手ありきだったに違いない。

 藤川、上原は阪神、巨人の人気チーム出身で知名度が高い。引退後は自分のチャンネルを持つYouTuberという共通点もある。メディアを含め発信力が強く、年齢的に若い2人を入会させることで、古田は自身がトップに就いた名球会のイメージの一新も狙ったのではないか」(同前)