清廉潔白な「二刀流」が絡む初のスキャンダルだった。
米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(28)がアンバサダーを務める暗号資産(仮想通貨)大手交換所「FTXトレーディング」(2019年創業)が11月11日、杜撰な経営手法により経営破綻に至った。
急成長を遂げた同社では女子テニスの大坂なおみ、NFLのトム・ブレイディ(バッカニアーズ)やNBAのステファン・カリー(ウォリアーズ)ら大物スポーツ選手が広告塔となり、大谷も日本でCM出演していた。
同17日には損害を被った投資家が同社の宣伝に関わったことで賠償責任があるとして大谷らに対し、集団提訴に至った。米メディアでは責任はあくまでFTX経営陣で大谷らにはないだろうとの見立てが報じられたものの、大谷のイメージに傷が付いたことは否めない。
大谷サイドの不信感
集団提訴が報じられた直後、大谷は自身のインスタグラムで来春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への参加を正式表明した。絶妙なタイミングに、大谷サイドによる“スキャンダル隠し”ではないかと囁かれた。
大谷は日米で15以上の企業と提携し、今年のグラウンド外での収入は2000万ドル(約27億円)との試算もある。今年8月には独高級車メーカー「ポルシェ」とアンバサダー契約を結ぶなど多くの後援企業との関係を持っている。
「FTX問題で受けたダメージの、スポンサーへの影響を最小限に抑えるため、大谷の周辺が意図的にWBCへ話題をそらそうとしたのではないか。実際、日本のメディアは集団提訴よりもWBC出場のニュースを大きく取り上げた」(米大手マネジメント会社代理人)
大谷には不可抗力の“巻き込み事故”と言えただけに、これ以上騒ぎは広がらないかもしれない。大谷の損害と言えば、自身のイメージが揺らいだことのほかは、仮想通貨と株によるFTXからの報酬を失ったことだろうか。