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 特にボラス氏は以前から大谷の花巻東高時代の恩師、佐々木洋監督らへの売り込みなどでバレロ氏を揺さぶってきたとされる。5億ドル(約690億円)とも言われる大谷の次期契約を見越し、5%の手数料が相場の代理人契約を得ようと、攻勢が一層強まることが予想される。

FTXのきな臭さを察知しての早期契約締結?

 逆にバレロ氏のCAAスポーツは本格的に防戦に追われることになりそうだ。しかし、前出の代理人によると、実はCAAスポーツが危機感を募らせるのは今回が初めてではないという。10月1日に発表された来季契約の際である。

 確かに大谷の来季年俸は、年俸調停の権利を持つ選手としては史上最高額だったが、事前に5000万ドル(約69億円)との予想もあった。意外に金額が伸びなかったこととともに、なぜこんなに早くサインしたのかが謎に包まれていた。選手側にストレスがかかる調停に持ち込まないにしても、来年頭の期限ぎりぎりまで粘らなかったことは不可解だった。

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©文藝春秋

「大谷が開幕前にWBCも控える来季に備え、今オフのトレーニングに集中するために契約を早く決着させたい気持ちは分かる。ただ、代理人としては手数料が左右されるため、少しでも大きな契約を結びたい。しかし、バレロは手を尽くしたようには見えなかった。よくよく考えると、12月13日の米議会公聴会でFTXのジョン・レイ新CEOに『問題は数年前から起きていた』と指摘されていたが、CAAはある程度前に、FTXにきな臭さを感じていたのではないか。最悪の結果(経営破綻)が出て大谷からの信頼を失う前に、契約をまとめようと慌てたように見えたことと辻褄が合う」

水面下で「大谷争奪戦」が繰り広げられる

 同代理人はこう指摘した上で、大谷サイドはCAAスポーツがFTXとのアンバサダー契約を持ちかけてきたこと以上に、早期契約したことも問題視しているのではないかという。

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 大リーグの今オフのFA市場は、有力選手の契約が軒並み高騰している。MLBの収益増によるマーケットの巨大化や米国内のインフレ基調……そこにMLB球団によるマネーゲームの要素が加わる。大谷の記録的な巨額契約へ期待感が高まっている中、水面下では代理人によるもう一つの「大谷争奪戦」が繰り広げられそうだ。