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問題は代理人事務所との関係

 来年2月にWBC日本代表の宮崎合宿に参加となれば日本中が沸き、侍ジャパンが勝ち進めばフィーバーを巻き起こし、FTX問題は消え去るに違いない。

 確かにFTXからは巨額の報酬が見込まれていたが、大谷は来季年俸3000万ドル(約41億円)で契約した。何より25歳になってからメジャー挑戦すれば200億円の巨額契約も可能とされた中で、メジャー最低保障の年俸5000万円程度で早期渡米した「ベースボール・マシン」と呼ばれる男だ。今回の件が痛手とも思えないが……。

 前出の代理人は「このままでは終わらない」とみる。

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「問題は代理人事務所との関係。FTXの案件も、事務所が『今後成長するから』などと勧めるままに契約を結んだと聞く。この失態で、大谷サイドは事務所に不信感を募らせているそうだ」

ボラス氏に格好の口実

 大谷は渡米時、現在の代理人事務所「CAAスポーツ」(本拠はロサンゼルス)と契約した。スポーツ専門の代理人事務所としては世界最大規模で、野球部門の代表が渡米時から大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏だ。日本大リーガーでは過去に斎藤隆、青木宣親(ヤクルト)らを担当した実績がある。

バレロ氏と話す大谷 ©時事通信

 一方でMLBの代理人の中では、「吸血鬼」の異名を取るスコット・ボラス氏ほどの辣腕ではない。

「大谷ほどの選手ならバレロより有力な代理人を選ぶと思った」との声も上がった。大谷は昨季「9勝、46本塁打」、今季は「15勝、34本塁打」と二刀流で驚異的な成績を残しながらも、この2年は総額850万ドル(約9億円=当時のレート)とあまりにも安い契約で「代理人の失態」と言われた。

ボラス氏 ©時事通信社

「それでも、大谷サイドはバレロを信頼してきたが、さすがにFTXのことは看過できないのではないか。大谷は来オフにFAとなり、メジャー史上最大級の契約を結ぶ可能性が高い。この契約を前に、代理人を交代する可能性もある。バレロは大谷と契約したい代理人に、格好の口実を与えてしまった」(前出・代理人)