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「小型EVを買う前は子どもの送り迎えも買い物も電動自転車でした。だからもう、雨の日とかは本当に悲惨で……。雨風しのげて荷物が載せられるだけで最高です」と話したのは、山東省徳州市に住む旅館経営者の女性。旅行など遠出には使えないが、通勤や子どもの送り迎え、買い物にしか使わないのならばこれで十分だという。
ここでキーとなるのが「電動自転車よりも」という発想だ。電動四輪の普及はまだ始まったばかりだが、電動二輪、電動三輪はもはや中国社会には欠かせないアイテムとなっている。
「トラクターや電動車いすの名目で販売されているが、外見も用途も四輪車」という脱法自動車から“ギリギリ合法”な自動車が誕生
中国では年4000万台の電動二輪、年1000万台の電動三輪が販売されている。子どもの送り迎えから宅配便やフードデリバリーまで社会に欠かせないインフラだ。さらにもう一つタイヤを増やして4つにすればもっと安定性が高まるし荷物も積める。そのニーズを満たしたのが小型EVというわけだ。
2020年、宏光 MINIEVの登場によって小型EVというカテゴリが爆発的に成長したが、実はそれ以前にも類似の製品があった。それは低速EVという呼ばれるもので、「トラクターや電動車いすの名目で販売されているが、外見も用途も四輪車」という脱法自動車であった。脱法とはいえ、最盛期には年100万台もの販売があったという。
筆者は2018年、山東省で開催された低速EVの展示会を取材したが、あまりの盛況ぶりに驚かされた。電気自転車のシステムにタイヤと屋根を足しただけ、10万円程度で買えてしまう超激安車輌もあれば、もう少し自動車っぽいものまでバリエーションはさまざま。