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 展示会には部品メーカーも出展していたが、低価格品は電動自転車に毛の生えたようなグレードなので、会場を一回りすれば必要な部品はすべてそろう。明日からでも低速EV屋さんを開けそうな勢いだ。ボディだけを販売している金物メーカーもあったが、シャーシの上にすっぽりかぶせるだけという代物で、プラモデルそのものだった。

 

 政府の取り締まり強化によって姿を消した低速EVだが、その代わりに登場したのがぎりぎり車の基準を満たして合法的な身分を手に入れた小型EVというわけだ。

じつはEVの弱点をカバーしていた小型EV

 限りなくチープな小型EVだが、ただ安いだけではない。ある意味ではEVの弱点をカバーした理想の車でもある。というのもEVにはバッテリー性能の限界という明確な弱点があるからだ。

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 ガソリンと比べるとバッテリーのエネルギー密度は30分の1以下と低い。長距離を走れるようにするためにはバッテリーを大型化する必要があるが、そうすると重量が増えて燃費(電費)が悪化してしまう。逆に航続距離をあきらめればバッテリーを小型化でき電費が向上する。

 もう一つ、中国政府の環境政策も小型EVの追い風となっている。2019年から導入されたダブルクレジット規制では、自動車メーカーは平均燃費、販売台数に占めるNEVの比率という二つの基準をクリアしなければならない。未達成の場合、基準を達成したメーカーに金を払う必要がある。

 この規制では高級EVも小型EVも同じ1台のカウントになるため、安い車を大量に売りまくっている小型EVメーカーが有利だ。逆にトヨタなど日系自動車メーカーは軒並み条件未達である。宏光 MINIEVの上汽通用五菱はこのダブルクレジット規制だけで、2021年に約10億円の収入を得たと推測されている。