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「姪たちに心配かけんようにしたい」書き溜めたノートは5冊に…102歳で一人暮らしする女性の“終活”との向き合い方

「姪たちに心配かけんようにしたい」書き溜めたノートは5冊に…102歳で一人暮らしする女性の“終活”との向き合い方

『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』より#2

source : ライフスタイル出版

genre : ライフ, ライフスタイル, 人生相談, ヘルス, 読書, 社会

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「心配かけんようにしたい」書いたノートは5冊も

【17日】

 仏壇や棚の引き出しからノートがたくさん出てきました。遺影を撮った頃かなあ、友人や同級生が相次いで亡くなってね。葬式にもようけ行きました。それで、自分の葬儀やお寺さんへの対応のことをよくノートに書くようになりました。毎日調子に乗ってちゃらちゃらしとりますが、夜ひょっとした時に思うんですね。姪たちに心配かけんようにしたいなって。それでその辺にあるノートに書くんでございます。

 

 あちこちに書くもんじゃから何冊にもなってしもうて。え、5冊もありましたか。自分の心配ごとをみんなに投げ出したようですけど、いつか1冊にまとめて姪たちに伝えときたいです。

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【22日】

 うちの田の米作りは近所の人に任せておるんですが、今年も新米がとれました。やっぱり味が違います。毎回2合炊いて3、4回に分けて食べとります。ありがたいことに食欲が落ちることがないんでございます。体重ですか? ずっと変わらず45キロほどですかな。

 

「ああ、大好きだったんだなあー」取材記者のまなざし

 取材にうかがうたびに伝わってくる。ああ、大好きだったんだなあーと。なぜなら哲代おばあちゃんは毎回、必ず一度はこの人の名前を口にするからだ。2003年に亡くなった夫の良英さん。空をちらっと見上げ、哲代おばあちゃんはその姿に思いをはせる。

「よう頑張っとるなあと、褒めてくれとるでしょうて」

 最愛の人に見守られているという絶対的な安心感が、哲代おばあちゃんの日々を支えている。

 

 でも、それだけじゃないと最近知った。以前はベッド脇のたんすの引き出しに立ててあった良英さんの写真。それが近頃は、枕にくっつけるように置いてある。

「そばに寄せたのは、やっぱり恋しいから?」と尋ねると、意外にも「そうでもない」と言う。