「人を殺すような度胸がある人間には見えなかったけど」
稲掛容疑者はその後、地元の平野区に戻り、事件現場からわずか1キロ離れた場所にあるマンションに住んでいた。同じマンションに住む60代の男性は、稲掛容疑者の印象をこう語る。
「引っ越してきたのは去年の6月くらいだったかな。ピンポンが鳴って出てみると稲掛さんが立っていて、『同じ階に引っ越してきたのでよろしくお願いします、これよかったら使ってください』なんて食器用の洗剤をくれて、丁寧に頭を下げていました。このマンションはお隣さんですら誰が住んでいるかわからないぐらい人付き合いのない場所だから、エラい律儀な人だなという印象でした」
地元に戻ってからは、近所付き合いもあり温厚な振る舞いをしていたようだ。一方で、稲掛容疑者について不審に思っていた住人の声も聞こえてきた。
「エレベーターですれ違った何度かあるけど、会釈も挨拶も返さない人だったよ。共有部分の廊下でたばこ吸ってるのを何度も見かけて、注意すると『すいません』と止めるんだけど、それ以降も灰や吸い殻が落ちてて……。もの静かな雰囲気だし、人を殺すような度胸がある人間には見えなかったけど」(同マンション住人・40代)
稲掛容疑者は警察の調べに対し、刺した事は認めつつ「殺すつもりはなかった」と殺意を否認している。忘年会を共にした知人らも、稲掛容疑者に対して優しい人というイメージがあったと口を揃えた。同い年、同じ地元の2人の間でいったい何があったのか、真相の究明が待たれる。
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