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「幸せ押しつけ曲だったら嫌だな」松浦亜弥36歳“家事と育児の合間に歌った”夫婦コラボ新曲「Addicted」に驚いた理由

2023/01/16
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 ちっさいちっさい画面を見つめ、口を尖らせ必死で好きな人にメールを打つ。けど勇気が出ず送信を押せない! しばらく考えて「ヨシッ」と送信ししばらく待つ。1日待つ。返信来ねぇ~!……という、ケータイメールのもどかしさと、あややの持つ少し力んだ感じがとてもハマっていた。

 その後のシングルの流れが、コミュニケーションツールの進化とリンクせず「もっとちゃんと想いを伝えるためわざわざ便箋を買って書くような」アナログな方向性へと移行していくのも興味深かった。特に美空ひばりが書き残した歌詞につんく♂が曲をつけた2002年の8thシングル「草原の人」以降、「ね~え?」「GOOD BYE 夏男」というザ・つんく♂的な跳曲からの深刻なバラード「THE LAST NIGHT」からのポップな「奇跡の香りダンス。」からの谷村新司作詞作曲のシックな名曲「風信子(ヒヤシンス)」……と、最先端の遊びとノスタルジックな王道楽曲が、変わりばんこに来る! まさに「本格派な松浦亜弥とアイドルのあやや、どっちが好きなの?」と彼女に問われているような錯覚を覚えたものである。

つんく♂原案・音楽プロデュースのミュージカルに出演する(右から)松浦亜弥、安倍なつみ、後藤真希(2003年撮影) ©時事通信社

竹内まりやが歌唱力を絶賛

 もともと「ハロー!プロジェクト」の楽曲はプロデューサーのつんく♂が持つ昭和歌謡や70年代アイドル曲へのリスペクトを感じる曲が多かったが、中でも彼女に与えられし楽曲は特別。ものすごい逸材を目の前にした制作側の「素材そのものが素晴らしすぎて、未来に行くか王道をたどるか迷う」感が漂っていた。

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 ただ、当時世間がハロプロに求めていたのは、懐かしいベッタンも流行のゲームも混じって入ったオモチャ箱のような「遊び感」。美しい文房具が並んだ文机的に向きだした彼女のシングルの売れ行きはドカンと爆発することが減ったけれど、歌唱力の評価は高まっていった。

 彼女が2010年に出したカバーアルバム『Click you Link me』でカバーした「みんなひとり」の作詞作曲をした竹内まりやも、彼女の歌唱力を絶賛している。そして、このアルバムは発売から4年後に大ヒット。このタイムラグも、今となればあややっぽい。