「貸画廊」は、文字通り作家にスペースを賃貸するギャラリーで、作家の展覧会を企画して作品を販売する「企画画廊」とは区別される。「企画画廊」であれば、ギャラリーにもよるが、ギャラリーストーカーのような客から作家を守ってくれるケースもある。
「たとえば、ギャラリーストーカーの男性に話しかけられていたら、用事があるふりをしてバックヤードに呼んでくれるとか、裏口から逃がしてくれるとか、対応してくれます。でも、中には『お客さんなんだからそれぐらい相手してあげて』と放置されるところもありますね」
既婚男性から「愛人になれ」と迫られたことも…
ギャラリーにとって「上客」であるコレクターの場合は、ギャラリー側も断りづらい。小杉さんは、コレクターの既婚男性から「付き合おう」と言われたことがあった。つまり、「愛人になれ」という意味だ。
そのコレクターは、小杉さんが展覧会を開くギャラリーと古くから付き合いがあった。コレクターは、自分が優位な立場にあることを小杉さんに誇示して、愛人になるよう迫った。
「僕はギャラリーの偉い人と仲が良いから、言うことを聞いた方がいいよ」
もちろん小杉さんは断った。そのコレクターが、小杉さんだけでなく、あちこちの若い女性作家に対して同じように誘っているとの噂を聞いたのは、少し経ってからのことだ。
ところが、このときにコレクターの機嫌を損ねたことで、小杉さんとギャラリーとの関係が険悪になってしまう。
「その後、そのギャラリーとも、ギャラリーと仲の良い他のギャラリーや作家たちとも仕事することができなくなりました。私のチャンスが奪われるという最悪のトラブルでした。今でも、その人は別のギャラリーで私の作品を買ってるようで、メッセージが届くのですが、無視しています」
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