この1月にフォロワー数44万人を突破したSHARP公式ツイッター(@SHARP_JP)。一企業のツイッターがこれほどまでのファンを獲得するのは珍しい。ネット上で会社が愛される方法とは? 「中の人」シャープさんにお伺いしました。(全2回、後編につづく)
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影響を受けたのは@NHK_PR
――44万人のフォロワー、10万を超えるツイートなど数の面もさることながら、計測器メーカー「タニタ」の公式ツイッター「タニタさん」と『シン・ゴジラ』放送時に掛け合いをしたり、自社に関するニュースに率直なツイートをしたり。何かと話題のツイッターですが、いつから始まったのですか?
シャープさん アカウントをあけたのは2011年6月です。あの頃は企業が広告活動の一環としてSNSを使う第1次ブームでしたので、僕のいた宣伝部にも広告代理店を通じて「これからはソーシャルの時代ですよ」みたいな提案があったようです。それで当時のボスが「よくわかんないけど、やんなきゃ」って言い出した(笑)。そのお鉢が僕のところに回ってきたんです。
――宣伝部ではツイッター開設に向けてチームが編成されたりしたんですか?
シャープさん いえいえ、最初から1人、今も1人です。正確に言うと、去年までは会社の中のことをサポートしてくれる同僚がいたんですが辞めてしまって。それで今は完全にひとりですね。
――アカウントを立ち上げるに当たって、注目したり参考にされていた企業のツイッターってありましたか?
シャープさん 企業とは少し違いますが、NHK広報のツイッター、@NHK_PRには影響を受けています。東日本大震災のときに、ニュースが視聴できない人たちに動画視聴できる方法を案内するなど、支援のために積極的に発信を続けて注目されたアカウントですが、震災前から好きでした。お堅いNHKというイメージを逆手に取ったツイートを続けていて、そのアクティブさは話題になっていましたから。
そもそも広報するためにツイッターを始めたわけではない
――シャープさんもかなりアクティブで、たとえば2016年2月、鴻海によるSHARPの買収契約が取り交わされるタイミングで「な ん て 日 だ !」ってツイートしてます。こういう自社のことに関するスレスレの発言をよく許されたなと思ったりするんですが……。
シャープさん ツイッターを担当しろと言われたときに、会社中の決裁を取らないと何も呟けないなら、やらないほうがいいですよと伝えました。もし僕が担当するなら、そこは自由にさせてくださいと。その条件を呑んでもらったので始めたところはあるんです。そもそも広報するためにツイッターを始めたわけではないので。
――ツイートは広報ではない、と。
シャープさん 広報というのは企業のメッセージを1つに統一させて、それを世の中に伝えることです。でも僕は、企業のメッセージに、一社員の言葉を乗せて発信しています。企業メッセージに倍音を加えるというか、体温をのせるというか。宣伝の方法の一つとしてツイッターが使われていることは事実なんですが、それ以上に、企業と世間の皆さんとのコミュニケーションを豊かにしようという試みなんです。
――シャープさんという一社員が発信している、ということを大事にしているんですね。
シャープさん ですから、さっき一人で担当していると言いましたけど、そのほうがいいんです。ツイッターは企業のイメージ、人格を担うところもありますから、複数人で言葉を発してしまうと、お客様もどの人格と握手すればいいかわからなくなってしまう。お客様の相手となる企業人格はとても大切なんです。