文春オンライン

「正直、HIROくんに対するジェラシーの感情がありましたね」クロちゃん(46)が嫉妬心を「成長の糧」できたワケ

『日本中から嫌われている僕が、絶対に病まない理由』 #3

2023/01/28
note

 だけど仕事を一緒にするうちにあの人の凄味に気づかされたし、しっかりタッグを組んだほうがいい人物だと自分の中で軌道修正していきました。

 最初は疑惑の眼差しから。だけどつき合いを続けるうちに、距離を縮めて腹を見せ合う関係になったというわけです。

 とはいえ、誰も信用していなくて、自分から話しかけることもしなかったら、それは単なるコミュ障。僕の場合、それとは違うんですよ。

ADVERTISEMENT

 むしろ表面上を取り繕うのはうまいほうだから、初対面で誰とでも仲いい感じで振る舞うことはできます。

 ただ、むやみやたらと信用できるかどうかもわからない人と交流しても仕方がない。実用書とかでは「人脈を広げたほうがいい」とか当たり前のように書かれていますけど、実際はそれってかなり難しいですよ。名刺交換をひたすらしたところで、本当に自分の実になるかはわからない。

 芸人同士だと、みんなで合コンに行くことがよくあるんです。これは「女の子をお持ち帰りできるか?」という話もさることながら、実際は事務所を超えた横の繋がりを強化するという側面が強いんですね。

 だけど、僕は一切そういうものには参加しません。なぜなら時間が無駄に過ぎていくから。女の子にその気がないのに2次会に行って、カラオケにも行って……とか想像するだけで気が滅入ってくるんですよ。合コンじゃキャバクラみたいにチェンジもできないですしね。

 無駄だと思う交流はしないけど、1人の大人として、嫌いな相手にもそれっぽい態度を示す。そんなバランス感覚で生きています。

安田大サーカスのHIROくんに嫉妬していた過去

 安田大サーカスはトリオです。リーダーとして仕切っているのは団長。そして舞台ではHIROくんが笑いを持っていくことが多かったんですよね。

 役割としては、HIROくんが大ボケ、自分は小ボケ。あくまでも主役はHIROくんみたいなイメージが、気づいたら世の中的にも定着していました。

若かりし頃のクロちゃんとHIROくんと団長 ©文藝春秋

  もともと自分は芸人になりたかったわけじゃないとはいえ、なんだか釈然としなかったです。つなぎ役みたいなことを自分がやらされていることに対して、モヤモヤした気持ちがくすぶっていました。今だから言うけど、正直、HIROくんに対するジェラシーの感情がありましたね。