「あいつがTwitterでこんな失言をした」、とばかりに、Twitterの発言のスクリーンショットが出回ることはよくあります。Twitterの場合、Facebookやブログと違って発言内容をあとから編集できないため、このようなスクリーンショットは即本物とみなされがちです。
しかし、画像化されて出回っているツイートは、悪意を持って“加工”されている場合も少なくありません。しかもそれはPhotoshopのような画像編集ソフトを必要とせず、ブラウザに標準搭載されている機能を使うだけで、簡単に改変できてしまうのが恐ろしいところ。今回はその具体的な“手口”を紹介しましょう。
ツイート本文や発言日時などあらゆる要素が改変可能
画面上に表示されているツイートの内容を改変するには、Chromeの場合「デベロッパー ツール」を使用します。もともとはウェブサイトの表示チェックなどに使用するツールですが、ソースコードを書き換える機能を使えば、ツイート本文や発言日時はもちろんのこと、ユーザ名やTwitterのIDまでもがカンタンに改変できてしまいます。
実際の手順は、Chrome上でツイートを表示した状態で、メニューから「その他のツール」→「デベロッパー ツール」を選択。画面に現在のページのソースコードなどが表示されますので、左上の「Select an element in the page to inspect it」というアイコンをクリックしたのち、ツイートの本文をクリックします。
すると該当箇所のソースコードが表示されますので、中に書かれているツイート本文を改変したのち、Enterキーを押します。すると、画面に表示されていたツイートが、入力したままの内容に書き換わるというわけです。
「デベロッパー ツール」の画面を閉じたあとも、ページ自体を再読込するまではこの状態が維持されますので、スクリーンショットを撮って共有すれば、あたかも実際にそのようなツイートが投稿されていたかのように、不特定多数の人を騙せるというわけです。
“画像化”されたツイートには要注意!
誤解のないように言っておくと、これはローカルのブラウザ上で書き換えるだけで、インターネット上にある元データまで改変できるわけではありません(それができれば大変なことになってしまいます)。
ただしローカルで表示しているぶんにはまったく見た目は区別できませんので、スクリーンショットを撮って共有されると、本物と見分ける方法がありません。もちろん検索してもそのようなツイートはヒットしませんが、「都合の悪いツイートなので削除した」ことにしてしまえば、いかにもそれっぽく聞こえてしまうものです。
こうした手口で相手を陥れようとする人が、ネット上には少なからず存在します。少なくとも画像として出回っているツイートで、誰かを批判したり、貶めたりしているケースでは、必ず元ツイートが実在するか確認し、存在しなければ捏造の可能性を疑ってみる、そのくらいの慎重さが必要と言えそうです。いずれにしても、詳しい人が見たらすぐにバレる手口ではありますが、用心に越したことはないでしょう。